【完結】情欲リフレクター
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人付き合いが苦手な大学生・剛力紗羽は、明るく距離感のおかしいバイト仲間・浅井蘭丸に流されるまま親しくなり、やがて体の関係を持つようになる。軽いノリで迫ってくるくせに、妙なところで真っ直ぐで、会えば甘く抱いてくる蘭丸。けれど紗羽には、その「好き」が恋人としてのものなのか信じきれない。このままでは曖昧な関係に溺れるだけだとわかっていながら、離れようとするたび、蘭丸の執着と溺愛は予想外の形で深まっていく。
※R18表現ありには★マークついてます
まず冒頭で目を引いたのは、苗字と名前の持つ印象のギャップ。この落差そのものが、【サワ】というキャラクターの二面性を静かに物語っているようで、序盤から惹き込まれました。
「友達を作るのをやめる」という彼の選択には、痛いほど共感しました。同時に、その選択の裏にある寂しさも透けて見えて、強さと脆さが同居する人物として描かれているのが巧みです。
蘭丸との間に共通点がないと言いながらも、なぜ自分が彼に求められるのかを冷静に分析してしまう――その時点で、もうサワの中には彼への好意が確かに芽生えているのだと思います。
「たまたま」の一言で片付けながらも「月と太陽の関係」と自らその関係性をラベリングしてしまうあたり、本人も気づかぬうちに惹かれている証拠でしょう。それでいて「建前」という言葉を挟むのは、もし蘭丸との関係の中でいつか傷つくことがあっても、「やっぱり人間関係はうまくいかない」と思わずに済むよう、あらかじめ自分の心に防衛線を張っているようにも感じられ、切なくなりました。
俯瞰して「止まり木」と表現する言葉選びは秀逸の一言です。距離を置きながらも、どこかで安らぎを求めてしまう関係性を、この一語が見事に凝縮させていると思います。
陽キャである蘭丸からの軽々しいテンションでの告白に「軽ぅ……」とげんなりしつつも、結局は流されてしまうサワ。「なんもしない」との言葉から一転してのキス、そして遊び人ゆえの奔放な振る舞いにショックを受けながら、必死に平静を装い意識を周囲に向けようとする姿がいじらしいです。過去の女の子たちへ思わず嫉妬心を向けてしまう描写では、「ほら、好きじゃんか」と読者として思わず頭を抱えたくなるほど、素直になれない彼がもどかしくも愛おしく映りました。直にお互いが嫉妬していると認めてしまえば楽なのに、サワは自分自身を蔑ろにする方向へと向かってしまう。もう後には戻れないと分かっていながら、他の男ともずるずると関係を持ち、ついには蘭丸を前に最悪の言い間違いをしてしまう場面は、読んでいて胸が締めつけられました。
不器用すぎる二人のもどかしさこそが、この物語の核心だと思います。そして、大事な場面でだけ彼を「紗羽」と呼ぶ演出も、二人の関係の深まりを静かに表していて、とても素敵なお話でした。
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