霊和怪異譚 野花と野薔薇Ⅲ 夢喰い花
かつて地図から消えた県があった。
石川県と富山県の県境。
現在は厳重に封鎖された禁域。
その名は――石山県。
存在するはずのない県。
立ち入ってはならない県。
しかし毎年、何人かの人間が迷い込む。
旅行者。
配信者。
記者。
失踪者を探す家族。
そして好奇心に駆られた者たち。
彼らは共通して、ある花を目撃する。
夜にだけ咲く花。
夢喰い花。
その花を見た者は夢を見る。
美しい夢。
懐かしい夢。
叶わなかった願いの夢。
だが夢から目覚めることはない。
残された記録には、いつも同じ言葉だけが残されていた。
⸻
喰われる
喰われる
喰われる
それが最期の思考ログだから
⸻
そんな怪異が広まり始めた頃。
野花たちは異変に気付く。
夢喰い花はこれまでの怪異とは何かが違う。
怨念でもない。
呪いでもない。
都市伝説でもない。
まるで石山県そのものが生み出した新たな生命のようだった。
やがて少女たちは新たな怪異談に出会う。
⸻
堕ち記者
消えた真実を追い続けた新聞記者。
彼が残した最後の記事には存在しない文字が記されていた。
⸻
半額弁当
深夜のコンビニに現れる値引きシール。
貼られた商品を買った者は翌日から夢を売るようになる。
⸻
スキマジョ
壁と壁の隙間。
ドアと床の隙間。
世界の狭間に棲む女。
彼女は「見つけた」と囁く。
⸻
ハチ福神の額縁
八柱の福神が描かれた古い額縁。
だが見るたびに神の数が減っていく。
最後の一柱が消えた時、額縁の外から何かが現れる。
⸻
これは、
怪異を追う者たちの物語。
怪異を語る者たちの物語。
そして。
夢喰い花に魅入られた少女たちが紡ぐ、
新たな霊和怪異譚である。
霊和怪異譚 野花と野薔薇Ⅲ
夢喰い花
あなたも次第に取り憑かれて喰われるだろう
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夜にだけ咲く花。
夢喰い花。
その花を見た者は夢を見る。
美しい夢。
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だが夢から目覚めることはない。
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喰われる
喰われる
喰われる
それが最期の思考ログだから
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そんな怪異が広まり始めた頃。
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夢喰い花はこれまでの怪異とは何かが違う。
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だが見るたびに神の数が減っていく。
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