婚約破棄された伯爵令嬢シャルロッテは、泣きながら逃げる途中でぶつかった25歳の公爵と中身が入れ替わったので、復讐します!

秘密のスキル ― 入れ替わりの夜(短縮版・約1000字)

 煌びやかな舞踏会場。シャンデリアの光が降り注ぐ中、伯爵令嬢シャルロッテ=マルセイユは居心地悪そうに立っていた。
 化粧は不器用、ドレスは流行遅れ。周囲の令嬢たちのきらめきの中で、彼女だけが「場違い」だった。

 そんな彼女に、冷たい声が突き刺さる。
「――シャルロッテ、君との婚約を破棄する!」
 婚約者のドリス=バルモアが、傍らの男爵令嬢マーリネを抱き寄せて笑う。
「やっぱり女は顔と胸だよなぁ」
 会場がどよめき、忍び笑いが広がる。

 実はシャルロッテの胸は十分に豊かだったが、古風なコルセットがすべてを隠していた。
 それに対し、マーリネの胸は詰め物の偽物。
 だが真実を知る者は誰もいない。屈辱と恥辱の中で、シャルロッテは涙をこらえて会場を飛び出した。

 月光の庭園を駆け抜けたそのとき、誰かとぶつかる。
 見上げた先にいたのは――金髪碧眼の完璧な貴公子、ファビアン公爵。
 冷たい声で「失礼」と言いながら手を差し伸べられた瞬間、彼女の身体が光に包まれる。

 ――スキル【入れ替わり】発動。条件:運命の時に、好意対象と強く触れ合うこと。期間:一週間。

 次に目を開けると、シャルロッテは高い視線から自分を見下ろしていた。
 目の前にいるのは、自分の姿をしたファビアン――しかしその口から飛び出したのは衝撃の一言。

「いや~~~ん♡ 見てこのお肌つやっつやぁ! あたし女になっちゃったのねぇぇ!」

 優雅で寡黙なはずの公爵が、まさかのオネエ言葉で大はしゃぎ。
 ドレスをつまんでくるくる回り、鏡の前で自分の頬を撫でている。

「ぷりぷりの胸ぇぇ♡ 最高ぉ~~~!」

 呆然とするシャルロッテ。
(な、なんなのこれ……!?)

 こうして――伯爵令嬢と公爵の、奇妙で甘い“入れ替わり生活”が幕を開けたのだった。
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