「香月小百合は、まだ魔法を知らない」
魔法の存在しない現代。
六歳の少女・香月小百合は、どこか世界に馴染めずにいた。
理由は分からない。
ただ、街の片隅や、人の気配の裏側に、説明できない“違和感”を感じ取ってしまう。
彼女は知らない。
かつて自分が、異世界で「大魔導士」と呼ばれていたことを。
そして一年ほど前から、現代に突如現れ始めた“ダンジョン”が、彼女の感覚と深く結びついていることを。
これは、力を振るう物語ではない。
世界が静かにズレていく音に、ただ気づいてしまった少女の物語だ。
日常と非日常の境界に立つ、その最初の一歩が、ここから始まる。
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