ある晴れた芝露の如く
「勝負は、負けたときの方が得るものが多い」ーーご存知でしたか?
勝てなかったあの日、悔しさで呼吸すらうまくできなかった。
でもあの胸の痛みが、今の私をつくってくれた。
「努力は報われるーーその言葉は絶対だ……自分より努力をしている人間に勝とうだなんて、虫が良すぎると思わないか。逆ならたまったものじゃない」
そんな彼女の目は、今にも雫がこぼれ落ちそうなほどに赤くなっていた。
きっとあのとき、自分よりも相手が努力をしていから、私は負けた。
だから私は、もう一度立ち上がり、弓を引く。
高校一年、進藤弓。弓道初心者。
最初はただ、逃げたくて。興味なんて、どこにもなかった。
けれど――
圧倒的な才能を持つ同級生・姫木文との出会いが、
私の世界を変えていった。
最悪の出会いから、衝突、焦燥、そして静かな共鳴へ。
すれ違っていたふたりの矢は、やがて同じ的を見つめはじめる。
これは、悔しさを知ったすべての人へ放たれる、
”まっすぐな矢”の物語。
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