現代ダンジョンから始める異世界バイトライフ

  二十年前、ダンジョンが出現して、人類は異世界と『共存』することになった。

 社畜である味道司(みどうつかさ)には、出会いがない。
 就職して、早や五年。コールセンターの管理職は人事ストレスが絶えないブラック職だ。

「そろそろヤバイよね、俺の人生……」

 転職という文字が頭に浮かんで消える。
 今の職場は年収が一千万近くあるのだ。定時退社もできる。福利厚生も厚い。これを手放すのは馬鹿だ。

 しかし、出会いがない。そんなとき、日本企業の食品製造工場が、あちらの国にできたというニュースを見た。
 スマホを開くと、その食品工場の求人広告が目に入る。

 もしかしたら、出会いもあるかもしれない。

「バイトしようか。こっちだとバレたらやばいけど、あっちだったら……世界が違うもんな。まずバレない」

 たいがいのダンジョンには高速道路から分岐する道が続いていて、自分の車で異世界とこちらとを往復しているサラリーマンも珍しくない。

「よし。深夜バイトしよう。派遣とかいいな、食品工場とかならマスクと帽子で顔も見えないし」

 異世界に出会いを求めて何が悪い?
 出会った異世界人はなんとサキュバスのメロウ。彼女の本業は……なんと公務員。

 移民関係のトラブルの調査が専門で、バイトは息抜きだという。
 人事管理になれている司は、ライン製造から倉庫の管理、更にはコンビニ店舗の運営まで手掛けてしまう。

 そんな司の働きぶりを見て、メロウは「ちょっと手を貸してよ、あたしの本業に」と新たなトラブルに司を誘うのだった。

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