やさしい記録のつくり方

 文章を整えるほど、大事なものが消えていく。
 神戸、長田で記録を整える仕事をする主人公は、その違和感を抱えたまま日々の依頼に向き合っている。
 そんなある日、自然消滅したはずの真緒が、何もなかったように店に通いはじめる。
 終わったはずの関係と、書きかけのまま止めている自分の記録。どちらも『決めないまま残している』だけではないのか。触れずにいることで形を保ってきたものに向き合ったとき、主人公はようやく自分の記録に手を入れる。書ききらないままでも、消えないものを残すために。
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