type X
IT企業に勤める原千草は親に援助してもらった分不相応のタワーマンションで新婚生活を初めて半年。誰もが羨む美貌の夫を射止め幸せを謳歌していた。会社のバイト社員が噂していたAI搭載のラブドールも自分たちには関係のない話だったはずだった。
ところがその最愛の夫が、あろうことかAI搭載の新型ラブドールtypeⅩと焼身自殺したという一報が入る。当初男女の心中事件と報じていたマスコミは、女が人間ではないラブドールだとわかると面白おかしく原夫妻のプライバシーまで侵害し始めた。とりわけホットダイナミックヌーンショーは執拗にこの事件を追っていた。
夫の遺体確認に両親とともに北茨城を訪れた千草は変わり果てた夫と対面してショックを受ける。遺骨を東京に持ち帰り葬儀を行ったが、コメントを取りたいマスコミは千草に執拗に取材攻勢をかけてくる。千草は精神の危ういバランスをやっとのことで保ちながら、typeⅩ被害者の会を結成しようと決意する。
秋の総裁選出馬が噂される元経産大臣、和久徳一郎にはセックスの行為の最中に相手の指を折るという性癖があった。だがなかなか人間相手ではこの性癖を満たすことは難しくなっており、typeⅩ製造メーカーであるオリガント・インダストリーからスペシャルモデルの提供を受けていた。和久とオリガント・インダストリーは互いの利害が一致した持ちつ持たれつの癒着構造となっていた。行為の後の回収されたtypeⅩの盗難が発生する。営業部長である多岐川の指紋と光彩認証が使われたのである。だが尋常ではないボディの破損に不安を感じた窃盗団はtypeⅩを遺棄する。そのtypeXを拾ったのが、千草の夫、雅人だった。雅人は偶然にTypeXのウェイクワードを知り、虐待した和久に対して怒りを覚える。和久を糾弾したいと黒川という週刊誌記者に持ち掛け、北茨城に和久の犯罪の痕跡を辿りに行く。
それとは別にマスコミの取材過程で、雅人の恩師である小学校教師、石川真紀子の異常なジェンダーフリー教育の実態が明らかになる。祖母から雅人の小学校当時の日記を譲り受けその実態を知った千草は真紀子と面会しようとするが会ってもらえない。そんな中、講演に飛び回る千草が襲われてしまう。果たして雅人は本当に心中だったのか?そして友愛党総裁を狙う和久の野望はどうなるのか?物語は衝撃のクライマックスを迎える!
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