極夜を歩く者
五十年前、世界を恐怖に陥れた〝魔王黒狼〟は、勇者と聖女によって討ち果たされた。
そして現在。
魔王が討たれたとされる古城で、一人の男が目を覚ます。
黒い髪。金色の瞳。人ならざるほどの力。
かつて魔王と呼ばれた男と同じ姿を持ちながら、彼には過去の記憶がなかった。
自分が何者なのか。
なぜここにいるのか。
かつて何を求め、何を失ったのか。
何ひとつ分からないまま古城で過ごしていた男は、ある夜、焚き火を囲む一人の女冒険者と出会う。
「少しだけで、かまわないんだけれど」
ただ寒さから逃れるため、暖を求めただけだった。
それが、二人の始まりだった。
やがて女冒険者ヴァレリアは、名も持たない男に〝ノア〟という名を与える。
五十年前に何があったのか。
魔王黒狼とは、本当に何者だったのか。
勇者と聖女は、何を討ったのか。
失われた過去を辿りながら、何も知らない男はもう一度、人と出会い、世界を知っていく。
これは、魔王と呼ばれた者と、一人の冒険者が歩く物語。
そして——
太陽を守った勇者と聖女と、太陽の光に敗れた、黒い狼のお話。
※本作には一部、流血・暴力・残酷な描写が含まれます
※本作は『太陽を愛した狼』から分岐した、ひとつの〝もしも〟の物語です。
『太陽を愛した狼』を未読でも、本作単独でお楽しみいただけます。
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