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19.叶夢 ◇ルカニア
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異界の蝶に囲まれている幻想的なワインレッドの瞳に興味を覚えた。
ガルシア王家の瞳の色彩。
こっそりとクロスウェルの印をつけた。
気づいて無ければ良いが、気づいたとしても簡単に解除は出来ないだろう。
あの魔力量から見ても魔術師であるのは、間違いない。
アシェルは、綺麗な顔立ちだったが、細身ながらも筋肉もついていて中性的とまでは言えなかった。
同性婚は認められていたから、体格の良い同性にアプローチされていた気はする。
クロスウェルでも、ガルシア王家の血を欲しがっていたのは確かだ。
印を付けたアイツの瞳は、ガルシア王家の色だったがアシェルとは雰囲気が違う。
中性的で、華奢。
妖艶で美しい雰囲気のある魔術師だった。
王家の隠し子なのか?そう思わずにはいられない、美しい瞳と顔立ちだった。
手に入れたいと思い、印を思わずつけるなんて俺らしくもない。
だが──
《空間移動》
で、確かめにきた場所で、気持ちの悪い男に襲われそうになっていたのは、印をつけたはずの青年だった。
思わず、男の顔面を殴り、外へと吹っ飛ばした。
余程、怖かったのだろう。小刻みに震えているのが伝わってくる。
あの時の妖艶さは感じられないが、儚げな印象に目が離せない。印の気配は感じ取れる。
瞳の色が真っ黒だ。何故?魔道具を使って隠しているのか?
魔力量も、随分落ちている。
幻影で魔力を使い、さらに異界に転移した為に魔力が枯渇したのかも知れない。
回復薬を飲んでいないのか?
口を塞いだ手をゆっくりと退かす。
叫んだら、キスするぞなんて、少し揶揄っただけなのに。
困った顔をする。
落ち着ついたか?
そう思ったのに、突然感情を爆発させ半泣きで叫んできた。
死んだ親に捨てられたと思っているのか?
親ならば、子を助けたいものだろうと思ったが、その涙に息を呑む。
美しい──と思ってしまった。
叫んだらキスだったろ?
思わず、口で口を塞ぐ。
驚いた顔が可愛い。
思わず何度も食むように口付けをする。
抵抗してきたが、わずかに唇が開いた。
すかさずその隙間へと舌を差し込む。舌で押し出したかったのだろうが、そんな可愛い事をされて逃すわけがない。
枯渇しかけの、魔力を補ってやろうと、己の魔力を流してみる。
すごい、何だこれは?
魔力の相性が相当いいのだろう。
循環させると、甘美な魔力の流れが俺に巡ってくる。
クチュクチュと音を立てて交わすキスに、真っ赤な顔をしている。
恥ずかしいのか?周りを気にする様子に笑いそうだ。
《防音》
《阻害》
を使っている事を伝えたら安心するかと思ったが、違うようだ。
息を上手く吸えなくて苦しくなってきたのか、小さな抵抗にあった。
一体何者なんだろう?
名前を教えてくれたが、
叶夢──
あまり聞いた事のない響きだ。
この間のお前と今のお前はどちらが本物なのか?知りたいと思うのは仕方がない。
だが──その質問は、しては駄目だったようで…
この間の人物は、自分じゃ無いと拒絶を受けた。
意味が分からない。
もっと、お前を知りたい。
そんな時「ノア」と呟かれた。
あっという間に、空間から伸びた手に連れ去られてしまった。
誰だ!男か?
がっちりとホールドされても、嫌がらず、逆に安堵の表情を見せる。
「ルークの探しているのは、僕じゃない」
そう言って消えた。
「くそっ」
かなりの魔術師だったのだろう。
この俺が、あっという間に撒かれてしまう。
追えない。
叶夢の移動した先と思われる場所が相当数点在する。
全てフェイクだろうな。
これを全て確認していたら、俺が魔力を枯渇しクロスウェルに戻れなくなる。
仕方ない。
印が消える前に、また探しに来よう。
ノアも気になるな。
相当な実力者だ。
顔が、分からなかったのは痛い。
叶夢の安心しきった顔を思い出すと腹立たしいが…。
魔力の相性で言えば、俺だろうと自負してしまう。
時間切れだ。
一度クロスウェルに戻るか
《空間移動》
──叶夢、必ず捕まえてやる。
ガルシア王家の瞳の色彩。
こっそりとクロスウェルの印をつけた。
気づいて無ければ良いが、気づいたとしても簡単に解除は出来ないだろう。
あの魔力量から見ても魔術師であるのは、間違いない。
アシェルは、綺麗な顔立ちだったが、細身ながらも筋肉もついていて中性的とまでは言えなかった。
同性婚は認められていたから、体格の良い同性にアプローチされていた気はする。
クロスウェルでも、ガルシア王家の血を欲しがっていたのは確かだ。
印を付けたアイツの瞳は、ガルシア王家の色だったがアシェルとは雰囲気が違う。
中性的で、華奢。
妖艶で美しい雰囲気のある魔術師だった。
王家の隠し子なのか?そう思わずにはいられない、美しい瞳と顔立ちだった。
手に入れたいと思い、印を思わずつけるなんて俺らしくもない。
だが──
《空間移動》
で、確かめにきた場所で、気持ちの悪い男に襲われそうになっていたのは、印をつけたはずの青年だった。
思わず、男の顔面を殴り、外へと吹っ飛ばした。
余程、怖かったのだろう。小刻みに震えているのが伝わってくる。
あの時の妖艶さは感じられないが、儚げな印象に目が離せない。印の気配は感じ取れる。
瞳の色が真っ黒だ。何故?魔道具を使って隠しているのか?
魔力量も、随分落ちている。
幻影で魔力を使い、さらに異界に転移した為に魔力が枯渇したのかも知れない。
回復薬を飲んでいないのか?
口を塞いだ手をゆっくりと退かす。
叫んだら、キスするぞなんて、少し揶揄っただけなのに。
困った顔をする。
落ち着ついたか?
そう思ったのに、突然感情を爆発させ半泣きで叫んできた。
死んだ親に捨てられたと思っているのか?
親ならば、子を助けたいものだろうと思ったが、その涙に息を呑む。
美しい──と思ってしまった。
叫んだらキスだったろ?
思わず、口で口を塞ぐ。
驚いた顔が可愛い。
思わず何度も食むように口付けをする。
抵抗してきたが、わずかに唇が開いた。
すかさずその隙間へと舌を差し込む。舌で押し出したかったのだろうが、そんな可愛い事をされて逃すわけがない。
枯渇しかけの、魔力を補ってやろうと、己の魔力を流してみる。
すごい、何だこれは?
魔力の相性が相当いいのだろう。
循環させると、甘美な魔力の流れが俺に巡ってくる。
クチュクチュと音を立てて交わすキスに、真っ赤な顔をしている。
恥ずかしいのか?周りを気にする様子に笑いそうだ。
《防音》
《阻害》
を使っている事を伝えたら安心するかと思ったが、違うようだ。
息を上手く吸えなくて苦しくなってきたのか、小さな抵抗にあった。
一体何者なんだろう?
名前を教えてくれたが、
叶夢──
あまり聞いた事のない響きだ。
この間のお前と今のお前はどちらが本物なのか?知りたいと思うのは仕方がない。
だが──その質問は、しては駄目だったようで…
この間の人物は、自分じゃ無いと拒絶を受けた。
意味が分からない。
もっと、お前を知りたい。
そんな時「ノア」と呟かれた。
あっという間に、空間から伸びた手に連れ去られてしまった。
誰だ!男か?
がっちりとホールドされても、嫌がらず、逆に安堵の表情を見せる。
「ルークの探しているのは、僕じゃない」
そう言って消えた。
「くそっ」
かなりの魔術師だったのだろう。
この俺が、あっという間に撒かれてしまう。
追えない。
叶夢の移動した先と思われる場所が相当数点在する。
全てフェイクだろうな。
これを全て確認していたら、俺が魔力を枯渇しクロスウェルに戻れなくなる。
仕方ない。
印が消える前に、また探しに来よう。
ノアも気になるな。
相当な実力者だ。
顔が、分からなかったのは痛い。
叶夢の安心しきった顔を思い出すと腹立たしいが…。
魔力の相性で言えば、俺だろうと自負してしまう。
時間切れだ。
一度クロスウェルに戻るか
《空間移動》
──叶夢、必ず捕まえてやる。
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