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第162話

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 俺のソウルスキルは3つだ。

『超強化弾丸』

『刀・極』

『未来を掴む者』

 『未来を掴む者』は超集中状態が発動条件となる。
 これを使ってしまうと、一気に集中力が削られて長い間戦えなくなる。
 だが、もう余裕が無い。

 戦える者が減りすぎた。

 超強化弾丸はもう使えない。

 時間を掛けて戦えれば楽だったが、常に自分のペースでは戦えるわけではない。

 エクスファック改が腕をしならせてゴムのように鞭攻撃を連発してきた。

 俺は最小限の動きでカウンターを決めつつ、エクスファック改に近づく。

『未来を掴む者』

 このソウルスキルはなんてことはない、ただ、数秒後の未来を予測するだけの能力だ。
 その中で、より良い未来を選ぶ。
 ただそれを繰り返す。

 俺が近づくとエクスファック改がバックステップを踏もうとする。
 俺はその少し前に前にステップして刀で斬りつけた。

 エクスファック改が鞭攻撃を繰り出そうとする。
 俺はそれより前に刀で斬ってから鞭攻撃をしようとした腕を突き刺す。

 無数の未来が枝分かれして見える。
 俺はその中でより有利な未来を選び取る。

 エクスファック改が両腕をしならせて攻撃しようとした瞬間に両腕を斬りつけて攻撃をキャンセルさせた。
 エクスファック改が右にステップを踏もうとすると、俺はその前にカウンターを当てるように横なぎの斬撃を放つ。

 熟練の戦士なら誰もが行っている未来予測、その精度を上げただけの能力だ。

 俺はエクスファックが動く少しだけ前にカウンターとなる攻撃を繰り出す。
 エクスファック改の攻撃をギリギリで躱し、腕を伸ばして攻撃しようとした腕に刀の切っ先で斬りつける。
 エクスファック改は自分の動きで斬られていくように攻撃を受けていく。

 ただ、1%でも良い未来を選び、その未来の通りに動く。
 俺は、最小限の動きでエクスファックを攻撃し続けていた。



【カムイ視点】

 もう、動けない。
 スキルもMPもすべて使いつくした。

 戦っているのは、セイコウコウボウと、あれは、ハヤトか!
 たった一人で、最小限の動きであのエクスファック改を圧倒している!
 最小限の動き、一見地味に見える。
 簡単に戦っているように見えるだろう。
 
 前に兵士から聞いた。
 巨大な獣と闘っている時にソウルスキルが発動していたと。
 体格が同じ相手ではなく、巨大な相手と闘ったことで、ハヤトの動きが普通ではないと初めて感じる事が出来たのだろう。

 恐らく戦いを知らない者はセイコウコウボウの動きに目を奪われるだろう。
 だが、ハヤトのあの動きは普通ではない!

 明らかに避ける事が出来ない動きを避けている!

 明らかに当てる事の出来ない攻撃を当てている!

 初動が早すぎる!

 エクスファック改が動く少し前から動き出している!

 見切っている!
 あの動きをすべて!
 俺には、あの動きは出来ない。
 
 すこしでも避けられる可能性があればすべてを避け、少しでも攻撃を当てられる可能性があればその1%を確実に決めている!

「アオイ、あれは、ソウルスキル、か?」
「そうね、ソウルスキル『未来を掴む者』よ」

「未来を、掴む者」

 そうか、攻撃を当てる未来を掴み取り、攻撃を避ける未来を掴み取り、カウンターを決める未来を掴み取る能力。
 一見見ただけで分かりにくい強さが、真の強さなのかもしれない。
 ハヤトを見てそう思った。



【ハヤト視点】

 エクスファック改が倒れた。

『レベルが206から220に上がりました』

 セイコウコウボウは順調に真・エクスファックを追い詰めていた。

「セイコウコウボウ、支援は必要ないか?」
「止めをお願いしよう!」

 セイコウコウボウは真・エクスファックを俺に飛ばして来た。
 まるでこん棒をバットのように使っている。

「うわ!こわ!」

『未来を掴む者の能力が強化されました』

 超集中状態じゃなくても使えるようになって、長時間使えるようになった。

 俺は必死で真・エクスファックを攻撃した。

 ツインハンドガンを10発当てて防御力を10%減少させた。
 更に、刀で何度も攻撃する。

 真・エクスファックは起き上がり、腕を鞭にして攻撃してくるが、動きが遅く感じる。
 エクスファック改より少し強いだけ?
 いや、状態異常攻撃を使いすぎてMPが無いのか。
 強みを潰された敵は弱い!

 俺は刀で連撃を食らわせた。

 真・エクスファックを倒し、レベルが上がる。

『レベルが220から250に上がりました』

「もしかして、レベル上げの為に俺に倒させてくれたのか?」
「いや?疲れたからねー」
「皆の所に行って治療を受けよう」
「……そうだね」

 俺と、セイコウコウボウはみんなの所に向かって歩き出す。

 バタン!

 後ろを振り向くとセイコウコウボウが倒れていた。

「セイコウコウボウ?」
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