奏で煌めく劣情花

【掻き乱されて、溺れる。その熱に。抗えない衝動の奔流に】
 帝都から遠く離れた辺境。帝国随一の屈強さを誇る騎兵連隊に新たな連隊長が赴任した。
 陸軍大尉、土岐奏人。癖のない濃茶色の髪、涼やかな黒瞳、怜悧さが前面に出た整った顔立ちの二十六歳。
 突然死した高齢の隊長の後釜としてやってきた土岐大尉は、お高くとまっている(ように見える超然とした)態度から、腰掛けのつもりで赴任してきた上級貴族のお坊ちゃん、と現地の兵士たちから煙たがられている。
 第一分隊長の花宮煌も奏人を嫌う一人だったが、ある日、上官と部下ではない、全く別の関係に身を置くことになる。
「いいか? 今後、俺には絶対服従だぞ。従順な奉仕者でいれば痛めつけたりはしない。あんた、無駄に綺麗な顔してるから、穢し甲斐があるのは否めないが」
 涼やかな夜風が吹く仲秋。輝く望月が立会人となって、彼と彼の物語が始まった。

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『彼の熱と、彼の衝動。』『煌星から愛をこめて』の番外編。表紙は香咲まりさん作画
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