デザイナー志望の少女と謎の同級生――この物語は、普通で終わらない。
服で自分を支えてきた少女と、服で決められた役割から自由になりたい異世界の姫。
ふたりが出会い、心と世界のほころびを縫い直していく、神戸発の服飾学園ファンタジー。
神戸の坂の途中で暮らす藤崎紬、十八歳。
ルミエール・アトリエ服飾学院へ入学した彼女は、異なる服や素材を一着の中へ残す「再構築」が好き。
袖の内側に深海魚の刺繍を隠したり、動いたときだけ違う形が見えるよう何度も縫い直したり。
静かでまじめに見えるけれど、服のことになると少し面倒なほど譲らない。
入学初日、紬の前に現れたのは、黒いジャケットをまとった金髪の少女――レイラ・シャルロット・ラフィーネ。
現代の略語には弱いのに、服飾史、型紙、刺繍、仕立ての知識は新入生とは思えないほど深い。
そして彼女の正体は、異世界から突然やってきた第二王女だった。
帰る方法も、現代で暮らす準備もないレイラは、藤崎家で暮らしながら紬と同じ学院へ通うことになる。
慎重に何度も縫い直す紬と、服の可能性を迷わず広げるレイラ。
飛鳥りんや個性だらけの仲間たちと、古着を再構築し、誰かの一歩を支える服を作っていく。
けれど、レイラが元の世界に残してきたものは、家族だけではなかった。
第二王女へ受け継がれてきた古い運命。
そして、世界に開いた大きなほころび。
毎日を少しだけ軽くする一着から始まったふたりの針は、やがて人の心だけでなく、世界そのものへ届いていく。
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