その川に、春の低音は
失ってから初めて響く、あの低く静かな恋の終わり。
高校時代、筝曲部で十七絃を担当していた恵は、小柄な身体でいつも重たい楽器を抱えていた。
土台を支えるその音が、光希は好きだった。
誰よりも、彼女をわかっているつもりだった。
けれど、二人の関係は少しずつ形を変えていく。
光希は自由な関係を望み、恵は特別でありたいと願う。
傷ついても「大丈夫」と笑う彼女に、光希は甘え続けた。
その静かな摩耗に、最後まで気付かないままで。
枝垂れ桜の舞う川沿いで終わっていく、ひとつの恋の物語。
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