想い出写真館
<第32回岐阜県文芸祭佳作受賞作品>
そのさほど大きくない私鉄の駅を降りて駅前の商店街を歩くこと数分、そろそろ商店街も尽きようかという少し寂しい場所に、その写真館は建っている。正面入口の上には福野写真館という看板がかかり、看板の下には昔は誰でもお世話になったカラーフィルムのロゴが今も残っている。
入口の左右のウインドウに所狭しと飾られているのは、七五三や入学記念、成人式といった家族の記念写真。もう使われなくなったのか、二眼レフのカメラも置かれている。
どこにでもある写真館、いや、どこにでもあった写真館と言った方が正しいか。
デジタルカメラ、そしてスマートフォンの普及により、写真は誰でも、いつでも、いくらでも撮れる、誰にとってもごくごく身近なものとなった。一方、フィルムで写真を撮り、写真館に現像や引き延ばしを頼むことは、趣味的なものとしては残ってはいるが、当たり前のものではなくなっている。
人生の節目節目に写真館で記念写真を撮って、引き延ばした写真を自宅に飾るということは根強く残っているものの、写真館として厳しい時代となったことは否めない。
それでも、この福野写真館はひっそりではあるが、三十年以上変わらず営業を続けている。店主は白髪交じりの小柄な男性。常に穏やかな笑顔を浮かべており、その確かな撮影技術とともに、客の評判はよい。ただ、この写真館に客が来るのはそれだけ故ではない。
この写真館は客の間で密かにこう呼ばれている。「想い出写真館」と。
そのさほど大きくない私鉄の駅を降りて駅前の商店街を歩くこと数分、そろそろ商店街も尽きようかという少し寂しい場所に、その写真館は建っている。正面入口の上には福野写真館という看板がかかり、看板の下には昔は誰でもお世話になったカラーフィルムのロゴが今も残っている。
入口の左右のウインドウに所狭しと飾られているのは、七五三や入学記念、成人式といった家族の記念写真。もう使われなくなったのか、二眼レフのカメラも置かれている。
どこにでもある写真館、いや、どこにでもあった写真館と言った方が正しいか。
デジタルカメラ、そしてスマートフォンの普及により、写真は誰でも、いつでも、いくらでも撮れる、誰にとってもごくごく身近なものとなった。一方、フィルムで写真を撮り、写真館に現像や引き延ばしを頼むことは、趣味的なものとしては残ってはいるが、当たり前のものではなくなっている。
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