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卒業後
476 星暦554年 黄の月 20日 明朗会計は大切です
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転移箱の話は終わって次の話が始まります。
・・・まだ殆ど何も話が見えませんが。
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久しぶりの休みにスタルノの工房へ行こうかと歩いていたら、突然道に面していた扉が開き、そこから人影が飛び出してきた。
「冗談じゃ無いわ、こんな妾モドキな契約なんぞするぐらいなら、軍にでも身柄を売って借金をしてくるわよ!!」
はぁ?
軍って人身売買してるのか?
しかも身柄を売って借金って何か微妙に違う気がするし。
思わず飛び出してきた相手を凝視したら、ふと見覚えがあることに気が付いた。
「イリスターナ?」
啖呵を切った相手から声を掛けられたと思ったのかかなり物騒な勢いで振り返った相手は、俺をみて目を丸くした。
「あら、ウィルじゃない。
久しぶりね」
「やっぱりイリスターナか。
学院を卒業して以来だが、最近どうしているんだ?」
去年の祭りの後の同窓会モドキの時にも確か来てなかったと思うから、ほぼ3年ぶりだな。
怒りの引いたイリスターナの顔は記憶にあるよりも細く、心なしか白い。
『妾モドキ』なんて不穏な言葉が出てくると言うことは、何か厄介事に巻き込まれているのか?
元同級生は俺の問いに軽く肩を竦めた。
「う~ん、まあちょっと問題が起きてるけど、何とかなるわ。
また今度、落ち着いたら会いましょう。
次の同窓会は頑張って参加するから、是非呼んで頂戴」
そう言って、軽く手を振りつつ歩き去ろうとしたのだが・・・がくりと膝の力が抜けたかのように躓き、倒れてしまった。
おい。
道端で倒れるような体調を『何とかなるわ』とは言わんぞ。
◆◆◆◆
「で、ウチまで連れてきたんだ」
道端で元同級生に目の前で倒れられたら流石に捨てていく訳にはいかないだろう。
スタルノの所までだったら何とか背負って歩いて行けなくは無い距離だったが、イマイチあそこは倒れた若い女性を連れ込むのに適しているとも思えなかったので、この際家に連れ帰ってパディン夫人に見て貰った方が良いかとアスカを喚んでイリスターナごと運んで貰った。
クッキーを囓りながらソファに寝かされたイリスターナを眺めながら、シャルロが呟いた。
「しょうがないだろ、目の前で倒れられたんだから。
卒業しているんだから今更魔術学院の保健室に連れ込むのも違うと思ったし」
魔術院に行ってアンディあたりにイリスターナの家の場所を知らないか聞くのもありだったかもしれないが。
何分びっくりしたので思いつかなかった。
「確か卒業した後は何処かの魔術師の元で見習いとして働いていたけど、去年の半ば辺りに独り立ちしたって聞いた気がするね」
アレクがお代わりの為にお湯を沸かしながら言った。
へ~。
そうだったのか。
「うう~ん・・・」
小さな呻き声をあげて、イリスターナの手が顔へと動いた。
「お久しぶり~」
シャルロが軽く声を掛ける。
「はぁ??」
イリスターナが飛び起きて、周りを見回した。
「俺と話していた後に突然倒れたんだよ、お前。
『妾モドキの契約なんてゴメンだ!』と叫んでいた相手の店の前に放置しておいたら不味いだろうと思ってウチまで連れてきたんだ」
驚いきに固まったイリスターナに先程淹れて程よく冷めたお茶を差し出しながら説明する。
殆ど無意識に受け取ったカップを暫く当惑したように眺めてから、イリスターナが中のお茶をぐいっと飲み干した。
「驚かせてゴメンね。
最近ちょっと色々とあったせいで、よく眠れてなかったみたい」
「何か役に立てるか分からないけど、相談に乗れない?
軍に身売りするなんて不穏なことを言っていたらしいね?」
シャルロが穏やかに尋ねた。
親切だね~。
アレクを見ろよ。
興味深げに話に耳を傾けてはいるが、『相談に乗ろうか?』とは言い出してないぜ。
まあ、頼まれれば俺達だって出来る範囲で手助けするのはやぶさかでは無いけどさ。
【後書き】
肝心の何が起きているのかの説明にたどり着けなかった;
次回はきっと・・・!
・・・まだ殆ど何も話が見えませんが。
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久しぶりの休みにスタルノの工房へ行こうかと歩いていたら、突然道に面していた扉が開き、そこから人影が飛び出してきた。
「冗談じゃ無いわ、こんな妾モドキな契約なんぞするぐらいなら、軍にでも身柄を売って借金をしてくるわよ!!」
はぁ?
軍って人身売買してるのか?
しかも身柄を売って借金って何か微妙に違う気がするし。
思わず飛び出してきた相手を凝視したら、ふと見覚えがあることに気が付いた。
「イリスターナ?」
啖呵を切った相手から声を掛けられたと思ったのかかなり物騒な勢いで振り返った相手は、俺をみて目を丸くした。
「あら、ウィルじゃない。
久しぶりね」
「やっぱりイリスターナか。
学院を卒業して以来だが、最近どうしているんだ?」
去年の祭りの後の同窓会モドキの時にも確か来てなかったと思うから、ほぼ3年ぶりだな。
怒りの引いたイリスターナの顔は記憶にあるよりも細く、心なしか白い。
『妾モドキ』なんて不穏な言葉が出てくると言うことは、何か厄介事に巻き込まれているのか?
元同級生は俺の問いに軽く肩を竦めた。
「う~ん、まあちょっと問題が起きてるけど、何とかなるわ。
また今度、落ち着いたら会いましょう。
次の同窓会は頑張って参加するから、是非呼んで頂戴」
そう言って、軽く手を振りつつ歩き去ろうとしたのだが・・・がくりと膝の力が抜けたかのように躓き、倒れてしまった。
おい。
道端で倒れるような体調を『何とかなるわ』とは言わんぞ。
◆◆◆◆
「で、ウチまで連れてきたんだ」
道端で元同級生に目の前で倒れられたら流石に捨てていく訳にはいかないだろう。
スタルノの所までだったら何とか背負って歩いて行けなくは無い距離だったが、イマイチあそこは倒れた若い女性を連れ込むのに適しているとも思えなかったので、この際家に連れ帰ってパディン夫人に見て貰った方が良いかとアスカを喚んでイリスターナごと運んで貰った。
クッキーを囓りながらソファに寝かされたイリスターナを眺めながら、シャルロが呟いた。
「しょうがないだろ、目の前で倒れられたんだから。
卒業しているんだから今更魔術学院の保健室に連れ込むのも違うと思ったし」
魔術院に行ってアンディあたりにイリスターナの家の場所を知らないか聞くのもありだったかもしれないが。
何分びっくりしたので思いつかなかった。
「確か卒業した後は何処かの魔術師の元で見習いとして働いていたけど、去年の半ば辺りに独り立ちしたって聞いた気がするね」
アレクがお代わりの為にお湯を沸かしながら言った。
へ~。
そうだったのか。
「うう~ん・・・」
小さな呻き声をあげて、イリスターナの手が顔へと動いた。
「お久しぶり~」
シャルロが軽く声を掛ける。
「はぁ??」
イリスターナが飛び起きて、周りを見回した。
「俺と話していた後に突然倒れたんだよ、お前。
『妾モドキの契約なんてゴメンだ!』と叫んでいた相手の店の前に放置しておいたら不味いだろうと思ってウチまで連れてきたんだ」
驚いきに固まったイリスターナに先程淹れて程よく冷めたお茶を差し出しながら説明する。
殆ど無意識に受け取ったカップを暫く当惑したように眺めてから、イリスターナが中のお茶をぐいっと飲み干した。
「驚かせてゴメンね。
最近ちょっと色々とあったせいで、よく眠れてなかったみたい」
「何か役に立てるか分からないけど、相談に乗れない?
軍に身売りするなんて不穏なことを言っていたらしいね?」
シャルロが穏やかに尋ねた。
親切だね~。
アレクを見ろよ。
興味深げに話に耳を傾けてはいるが、『相談に乗ろうか?』とは言い出してないぜ。
まあ、頼まれれば俺達だって出来る範囲で手助けするのはやぶさかでは無いけどさ。
【後書き】
肝心の何が起きているのかの説明にたどり着けなかった;
次回はきっと・・・!
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