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切な過ぎる恋心~瑞side~

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「うらやましいです。あなたは、ずっと昔から愛莉さんを知ってて、そして……今も愛莉さんのことを独り占めしてる」


「同じだと思ってたよ。君も、彼女が好きなんだね」


山下君は、僕の指摘にたいして驚くこともなく、深くゆっくりとうなづいた。


「僕も、菅原先生が愛莉さんを好きなことは気づいてました。あなたに、こんな僕が敵うわけないってちゃんとわかってます。それでも……僕は愛莉さんが好きなんです。先生に比べたら、一緒にいる時間はとても短い。だけど、僕は誰よりも愛莉さんを想ってます。あなたにだって負けないくらいに」


山下君の顔から真剣さが伝わってくる。
愛莉には、こんなにも想ってくれる人がいるんだ。そのことはちゃんと受け止めようと思う。
でも、山下君に愛莉を譲るわけにはいかない。


――絶対に。


「俺も、愛莉への愛情は君に負けない。何があろうと……愛莉は俺が守る」


「自信があるんですね。それだけの見た目ですからね。もし僕が先生の容姿だったらどんなに良かったか……って思いますよ。もちろん、中身も愛莉さんに認めてもらわないとダメですけど。先生……実は僕、愛莉さんに告白しました」


愛莉に?
知らなかった……


「僕の友人の女性に背中を押してもらって、勇気を出すことができました。まあ、見事にフラれましたけどね。弟みたいだって言われました。それって……すごくつらいです。でも、告白したことは1ミリも後悔していません」


「……」


「確かに僕は、見た目も中身もあなたには勝てません。どうあがいても勝てるわけがない。でも……それでもやっぱり愛莉さんを好きでいることは諦めたくないんです。僕はこんなにも愛莉さんが好きだから」


真面目でひたむきな彼の想いは、とてもカッコよく、男らしいと思う。
切実に訴える涙目の山下君にかける言葉を、俺は必死に探した。
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