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お父様の個人秘書
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建国祭が終わりました。今年は舞踏会にリシャール様と一緒に出席し、これまでに味わった事がないほど楽しい時間を過ごすことが出来ました。しかもアデライド様のアクセサリーが大変好評だったため、リシャール様の評判も一気に上がったのです。それだけでも今年の建国祭は記念すべき素晴らしいものだったと言えるでしょう。
そしてこの建国祭が終わった後、ちょっとした変化がありました。まずはリシャール様ですが…
(何と、お父様の個人秘書におなりになったのよね!)
そうなのです、あの舞踏会の後でリシャール様はお父様と話し合い、ご自身の商会はお店の方に任せてお父様の私的な秘書になったのです。リシャール様は商会をとても大切にしていましたし、お父様も商会を最優先でと仰っていたので、どうしてそうなったのかとても不思議でした。リシャール様に尋ねると、
「今の自分では色々足りないところがあるからです」
とそう仰っていましたが…リシャール様は今のままでも完璧です。ファリエール伯爵家の後継としての教育だって、マルセル叔父様はまだまだお元気なので急ぐ必要はありません。そもそも商会に生まれ、ご自身の商会も立ち上げているリシャール様なのですから、我が一門の商会の運営も問題ない筈です。
「彼にも意地があるのだろう」
「いいじゃないの。レティとの将来を真剣に考えてくれている証拠よ」
私との将来を真剣に考えているという言葉に、私の胸が高まりました。これまでは私が一方的にお慕いしていて、リシャール様はお優しいから私を受け入れて下さったのだと思っていましたし、それで十分だと思っていました。家の事は私がやればいいし、リシャール様には出来る限りご自身の商会を…と思っていたのです。
リシャール様の話では、商会は当面ダニエルさんを代理に立て、従業員も倍に増やしたそうです。その中には数字に強いプロの方も何人かいて、まずは経営の土台を強固にされるのだそうです。その上でアクセサリーのデザインが出来る人と、それを形に出来る職人を育てているのだとか。手始めに工房を丸ごと一軒買い取って、そこで人材を育てるのだそうです。
お父様の秘書になった事で、リシャール様は我が家に住む事になりました。とは言っても秘書としてなので他の秘書達と同じ場所で、私達家族が住むのとは別棟になります。
そうは言っても…同じ敷地内なので、私としては何かのついでにお姿が見えるのではないか…とウキウキしてしまいました。今まではリシャール様が来て下さらないとお会い出来なかったのですよね。これだけ近ければ、自ずと期待も高まるというものです。
そんな新しい変化に心時めかせていた私の望みに反して、リシャール様の姿を見る事は殆ど叶いませんでした。お父様は多忙ですし、王城にいる時間も長いので仕方ありませんが…
それでも嬉しい事もあり、週に一度、半日は必ずリシャール様との時間を持てるようになりました。今は同じ敷地内にいるので、お会いするのに移動時間がほぼゼロで、半日を丸っと一緒に過ごせるようになったのです。これまでは週に一度あるかないか…な頻度だったのを思えば夢のようです。
その日もリシャール様とサロンで、お茶を頂きながら楽しい時間を過ごしていました。寒くなってきたのでさすがに庭でのお茶は暫くお預けです。
(それでも、一緒に過ごせるのなら…場所なんかどうでもいいですわ)
かっこよくて素敵で優しいリシャール様との幸せな時間を過ごしていたその時です。
「お嬢様、レアンドル様が…!」
コレットが珍しく血相を変えてやってきました。
そしてこの建国祭が終わった後、ちょっとした変化がありました。まずはリシャール様ですが…
(何と、お父様の個人秘書におなりになったのよね!)
そうなのです、あの舞踏会の後でリシャール様はお父様と話し合い、ご自身の商会はお店の方に任せてお父様の私的な秘書になったのです。リシャール様は商会をとても大切にしていましたし、お父様も商会を最優先でと仰っていたので、どうしてそうなったのかとても不思議でした。リシャール様に尋ねると、
「今の自分では色々足りないところがあるからです」
とそう仰っていましたが…リシャール様は今のままでも完璧です。ファリエール伯爵家の後継としての教育だって、マルセル叔父様はまだまだお元気なので急ぐ必要はありません。そもそも商会に生まれ、ご自身の商会も立ち上げているリシャール様なのですから、我が一門の商会の運営も問題ない筈です。
「彼にも意地があるのだろう」
「いいじゃないの。レティとの将来を真剣に考えてくれている証拠よ」
私との将来を真剣に考えているという言葉に、私の胸が高まりました。これまでは私が一方的にお慕いしていて、リシャール様はお優しいから私を受け入れて下さったのだと思っていましたし、それで十分だと思っていました。家の事は私がやればいいし、リシャール様には出来る限りご自身の商会を…と思っていたのです。
リシャール様の話では、商会は当面ダニエルさんを代理に立て、従業員も倍に増やしたそうです。その中には数字に強いプロの方も何人かいて、まずは経営の土台を強固にされるのだそうです。その上でアクセサリーのデザインが出来る人と、それを形に出来る職人を育てているのだとか。手始めに工房を丸ごと一軒買い取って、そこで人材を育てるのだそうです。
お父様の秘書になった事で、リシャール様は我が家に住む事になりました。とは言っても秘書としてなので他の秘書達と同じ場所で、私達家族が住むのとは別棟になります。
そうは言っても…同じ敷地内なので、私としては何かのついでにお姿が見えるのではないか…とウキウキしてしまいました。今まではリシャール様が来て下さらないとお会い出来なかったのですよね。これだけ近ければ、自ずと期待も高まるというものです。
そんな新しい変化に心時めかせていた私の望みに反して、リシャール様の姿を見る事は殆ど叶いませんでした。お父様は多忙ですし、王城にいる時間も長いので仕方ありませんが…
それでも嬉しい事もあり、週に一度、半日は必ずリシャール様との時間を持てるようになりました。今は同じ敷地内にいるので、お会いするのに移動時間がほぼゼロで、半日を丸っと一緒に過ごせるようになったのです。これまでは週に一度あるかないか…な頻度だったのを思えば夢のようです。
その日もリシャール様とサロンで、お茶を頂きながら楽しい時間を過ごしていました。寒くなってきたのでさすがに庭でのお茶は暫くお預けです。
(それでも、一緒に過ごせるのなら…場所なんかどうでもいいですわ)
かっこよくて素敵で優しいリシャール様との幸せな時間を過ごしていたその時です。
「お嬢様、レアンドル様が…!」
コレットが珍しく血相を変えてやってきました。
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