父と王太子に横領の罪を着せられ鉱山奴隷にされた公爵令嬢、辺境で必要とされたので王都には戻りません――やがて王都のほうが辺境になりました
「貴様は、ただ頷くだけでいい」
二十一歳の公爵令嬢セシリアは、王太子妃教育として「北方支援費」の帳簿を任されていた。
だが、その金は北部を救うためのものではない。王太子と、財務卿である父が自由に使う王家の機密費だった。
不自然な支出に気づいたセシリアは、十歳の弟アルフレッドと領民を盾に取られ、すべての横領を一人で行ったという虚偽の自白を強いられる。
婚約も家名も身分も奪われ、社交界から病気による修道院入りとして消された彼女が、秘密裏に送られた先は北部の鉱山だった。
飯炊き、洗濯、水汲み、冷たい視線。
誰も守ってくれない場所で、セシリアは余計なことを言わず、生き抜く術を身につけていく。
やがて、彼女が何気なく正した一冊の帳簿から鉱山の生産性が上がり、その変化に気づいた辺境伯によって城の実務へ移される。
粗野で率直な辺境伯は、セシリアの意見が正しければ、自分の命令さえ改める男だった。
そしてセシリアは知る。
王都が帳簿の上で北部へ送ったはずの支援は、一度も届いていなかった。
けれど北部には、もともと人も物も知恵も、小さな交易の流れもあった。
彼女がしたのは、その流れを見える形にし、地域の境を越えてつなぐこと。
王都を通らない道が生まれ、商人と諸侯が北へ集まるにつれて、かつて「辺境」と呼ばれた北部は国の中心へ変わっていく。
一方、王都は物流と信用を失い、少しずつ孤立していく――。
父と王太子にすべてを奪われた公爵令嬢が、自分の意思で生きる場所と愛する相手を選び、最後には彼女を捨てた王都のほうを辺境にする逆転恋愛譚。
全70話・完結まで執筆済み。順次更新予定です。
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そしてセシリアは知る。
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