『白薔薇の令嬢は嘘をつかない――処刑される兄だけが、妹の本性を知っている』
明日の正午、ヴァレンハルト公爵家の嫡男アルベルトは、妹エレノアを十九年間虐げた罪人として処刑される。
父はすでに処刑され、母も同じ日に刑場へ送られる。一方、家族と王太子に虐げられた悲劇の公爵令嬢とされるエレノアは、隣国の皇太子妃となり、〈白薔薇の令嬢〉として民衆から称賛されていた。
だが、兄であるアルベルトだけは知っている。
エレノアは一度も嘘をつかなかった。ただ言葉の隙間を使い、父の体面、母の弱さ、兄の沈黙、王太子の正義感を利用して、すべての人間を破滅させたのだ。
これは処刑前夜の兄が書き残す、本当に悪い悪役令嬢の物語。
彼女は悪役令嬢を演じていたのではない。
悪役のまま、主人公の座を奪ったのだ。
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