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38話 私の婚約者 その2
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「突然、お邪魔してしまってごめんね、シャルナ」
「いえ、とんでもないことでございます。しかし、リュート王女殿下……どうしてこちらに?」
今日は王子殿下達が来られるとは聞いているけれど、リュート王女が来る手筈にはなっていないはず。それだけに、私の驚きはおおきかった。本当になぜ彼女は来ているのかしら?
「その……本日は如何なさいましたでしょうか? リュート王女殿下……」
「リュートでいいわよ。私達は同じ歳なのだし」
「そ、そうですか……? それではリュート様、本日はどうしたのですか?」
「ええ……シャルナ、今日はお兄様達を選ぶのでしょう? とても羨ましい立ち位置ね」
リュート王女はドルチェが提供したコーヒーを飲みながら、元気な口調で話していた。話題としてはそれになるとは思っていたけれど、彼女の質問は露骨でなんと返答していいのか難しい。
「喜ばしいのは事実ですが……とても緊張しています」
「まあ、そうでしょうね。ユアンお兄様もベノムお兄様も同じ歳で母親が違う。いわゆる、腹違いの兄弟だから」
「はい……存じております」
腹違いの兄弟、か。ベノム様以外の王子や王女殿下は全て正室側になる。唯一、ベノム様だけが側室の子で……なんとも微妙な関係性だったんだろう。
「あなたがどちらのお兄様を選ぶのか……楽しみだわ」
「私が選択をさせていただいた場合、ご兄弟の仲に亀裂は走りますか……?」
まだ少しの期間しか食卓を共にしていないけれど……初めて楽しいと思えたダイニングルームでの食事を与えてくれたのは、紛れもなく彼らだ。私は王族の仲に影響のある選択をしたくはなかった。
「心配するところがズレている気がするけど」
「はい、私もそう思っています」
私もそれは感じている。そもそも、まだ婚約すらしていないのに随分と調子に乗っていると映っているのかもしれない。でも……それでも私は聞いておきたかった。
「出ないとは限らないわ。今までだって、権力関係のところで問題が生じたこともあるし」
「やはりそうですか……」
「でも、私達の代ならば上手く解決できるとも考えているわ」
「リュート様……」
リュート王女の言葉は非常に強いものだった。自分や兄である王子殿下達のことを信頼しているのだろう。それなら私も前へと進もう……しっかりとした答えを出す為にも。
そんな話と同時に扉をノックする音が聞こえた。外から漏れて来る声は確実にユアン様達だ。私の迷いはいつの間にか消えていた……。
「いえ、とんでもないことでございます。しかし、リュート王女殿下……どうしてこちらに?」
今日は王子殿下達が来られるとは聞いているけれど、リュート王女が来る手筈にはなっていないはず。それだけに、私の驚きはおおきかった。本当になぜ彼女は来ているのかしら?
「その……本日は如何なさいましたでしょうか? リュート王女殿下……」
「リュートでいいわよ。私達は同じ歳なのだし」
「そ、そうですか……? それではリュート様、本日はどうしたのですか?」
「ええ……シャルナ、今日はお兄様達を選ぶのでしょう? とても羨ましい立ち位置ね」
リュート王女はドルチェが提供したコーヒーを飲みながら、元気な口調で話していた。話題としてはそれになるとは思っていたけれど、彼女の質問は露骨でなんと返答していいのか難しい。
「喜ばしいのは事実ですが……とても緊張しています」
「まあ、そうでしょうね。ユアンお兄様もベノムお兄様も同じ歳で母親が違う。いわゆる、腹違いの兄弟だから」
「はい……存じております」
腹違いの兄弟、か。ベノム様以外の王子や王女殿下は全て正室側になる。唯一、ベノム様だけが側室の子で……なんとも微妙な関係性だったんだろう。
「あなたがどちらのお兄様を選ぶのか……楽しみだわ」
「私が選択をさせていただいた場合、ご兄弟の仲に亀裂は走りますか……?」
まだ少しの期間しか食卓を共にしていないけれど……初めて楽しいと思えたダイニングルームでの食事を与えてくれたのは、紛れもなく彼らだ。私は王族の仲に影響のある選択をしたくはなかった。
「心配するところがズレている気がするけど」
「はい、私もそう思っています」
私もそれは感じている。そもそも、まだ婚約すらしていないのに随分と調子に乗っていると映っているのかもしれない。でも……それでも私は聞いておきたかった。
「出ないとは限らないわ。今までだって、権力関係のところで問題が生じたこともあるし」
「やはりそうですか……」
「でも、私達の代ならば上手く解決できるとも考えているわ」
「リュート様……」
リュート王女の言葉は非常に強いものだった。自分や兄である王子殿下達のことを信頼しているのだろう。それなら私も前へと進もう……しっかりとした答えを出す為にも。
そんな話と同時に扉をノックする音が聞こえた。外から漏れて来る声は確実にユアン様達だ。私の迷いはいつの間にか消えていた……。
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