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19話 ファレナの告白 その1

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(マックス視点)


「ここはこの前来ていた……」

「そうですね、マックスさんと再会した場所です」


 私とファレナは例の装飾店に足を運んでいた。エリー嬢と出会ったのもここだったな確か……。


「この場所にはなぜ来たんだ……? ドレスか何かを買うつもりなのかい?」

「そういうわけではありません」

「なら、一体どうして……?」


 ファレナの意図していることが分からない……そもそもの問題として、デートでもないのに彼女に呼び出された理由を聞いていない。もしかすると、デートの誘いなのでは? という予想がなかったわけではないが、こうして話していると違うのだと分かる。腕は相変わらず組んでいるが……。


「このお店は私にとっては思い出の場所になりました。多分、ミリス姉さんも同じだと思います」

「ど、どういうことだ……?」


 思い出と言うからにはそれ相応の強烈な何かがあったはずだが……まさか、エリー嬢と一悶着あったことがそれに該当するとは思えないしな。


「意外と察しが悪いですよね、マックスさんは。もちろん、マックスさんと再会できたからですよ」

「ファレナ……」

「だからこのお店は好きになりました。以前から嫌いだったわけではありませんが、マックスさんと再会できた場所という意味合いでは、非常に大きく私の心を支配しています」

「それって……」


 そう言ってもらえるのは非常に嬉しいが……これはファレナの告白と受け取って良いのだろうか? それとも、単なる親愛の情を述べているだけなのか? 私がミリスとダンスを踊ったことは知っているはずだし、彼女が告白をしてきたとは考えにくいが……。

「エリー嬢がマックスさんに親しく話しかけていくのは、それほど何も感じませんでした。マックスさんから、相手にされていないと分かったので」

「あ、ああ……まあ、そういうことになるかな。彼女の場合は婚約者であるアレク・ボゴス侯爵の前でも話し掛けて来たからね……あれは流石にどうかと思っていたよ」

「はい、そうだろうと思っていました。ただ、マックスさんは姉さんのことが好きなんですよね? 私ではなく」

「ファレナ……いきなり、話が飛んだような気がするんだが……」


 気付いた時には、エリー嬢の話からいきなりミリスの話題へと変わっていた。


「私はマックスさんのことが好きです。姉さんと同じく……ずっと前から……」


 このタイミングでの告白を受けるとは予想していなかったが……やはり、そういう話題だったのか。エリー嬢の話を最初に出したのは、前座みたいなものだったわけだ。

 私は彼女に何と伝えれば良い……? 心の中で様々な感情が生まれていた。
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