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第七章 新たな犠牲者
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「……殿下?」
「ああ、これは失礼。あまりに雰囲気が変わられたので、驚きましてね。とても、お似合いですよ」
ドニ殿下は、私の髪型やドレスを、まじまじとご覧になった。使用人たちは気を遣ったのか、挨拶して去って行った。
「お見えになっているとは存じませんで……。ずいぶんお待ちでしたの?」
「いきなり伺ったのはこちらですから、気になさらないでください。それに、待っている間、改めてトピアリーを鑑賞していたのですよ。前回は、それどころではありませんでしたし」
興味深げにトピアリーを見やってから、ドニ殿下は私の方を向き直られた。
「ところで。使用人たちから聞いたのですが。今日あなたは、ミレー家へ行かれていたとか?」
「――ええ」
警戒しつつお答えすると、殿下は眉をひそめられた。
「アルベール殿は、ずいぶん中途半端な真似をなさるのですね。婚約は保留にしつつ、屋敷へ招待するなんて。まるで、あなたを振り回しているようだ」
「保留と言い出したのは、こちらの両親ですから。……ところで殿下、今日はどのようなご用件ですの?」
無理やり話題をそらしたものの、殿下のお言葉は、私の胸に刺さった。ご家族に紹介していただき、しかもお母様に気に入られて、私の胸には少し欲が芽生えてしまった。とはいえ、この恋愛関係はあくまで偽装だ。それを、肝に銘じておかねば……。
「アルベール殿とは同じ立ち位置だ、と申し上げたでしょう? 辛抱強くここへ通って、あなたのお気持ちが変わるのを、待つつもりです」
「殿下。私がお慕いしているのは、アルベール様だと……」
拒絶の言葉を続けようとした、その時だった。私は、目を見張った。ドニ殿下は、懐から何かを取り出されたのだ。それは、あのエメラルドのブローチだった。
「殿下、これは……!?」
「モンタギュー殿から、取り戻して参りましたよ」
ドニ殿下は、うやうやしくブローチを差し出された。
「ああ、これは失礼。あまりに雰囲気が変わられたので、驚きましてね。とても、お似合いですよ」
ドニ殿下は、私の髪型やドレスを、まじまじとご覧になった。使用人たちは気を遣ったのか、挨拶して去って行った。
「お見えになっているとは存じませんで……。ずいぶんお待ちでしたの?」
「いきなり伺ったのはこちらですから、気になさらないでください。それに、待っている間、改めてトピアリーを鑑賞していたのですよ。前回は、それどころではありませんでしたし」
興味深げにトピアリーを見やってから、ドニ殿下は私の方を向き直られた。
「ところで。使用人たちから聞いたのですが。今日あなたは、ミレー家へ行かれていたとか?」
「――ええ」
警戒しつつお答えすると、殿下は眉をひそめられた。
「アルベール殿は、ずいぶん中途半端な真似をなさるのですね。婚約は保留にしつつ、屋敷へ招待するなんて。まるで、あなたを振り回しているようだ」
「保留と言い出したのは、こちらの両親ですから。……ところで殿下、今日はどのようなご用件ですの?」
無理やり話題をそらしたものの、殿下のお言葉は、私の胸に刺さった。ご家族に紹介していただき、しかもお母様に気に入られて、私の胸には少し欲が芽生えてしまった。とはいえ、この恋愛関係はあくまで偽装だ。それを、肝に銘じておかねば……。
「アルベール殿とは同じ立ち位置だ、と申し上げたでしょう? 辛抱強くここへ通って、あなたのお気持ちが変わるのを、待つつもりです」
「殿下。私がお慕いしているのは、アルベール様だと……」
拒絶の言葉を続けようとした、その時だった。私は、目を見張った。ドニ殿下は、懐から何かを取り出されたのだ。それは、あのエメラルドのブローチだった。
「殿下、これは……!?」
「モンタギュー殿から、取り戻して参りましたよ」
ドニ殿下は、うやうやしくブローチを差し出された。
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