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第十五章 明かされた秘密
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エミールは、すぐに戻って来た。鍵と書類を受け取りながら、アルベール様が念を押す。
「他の引き出しは、開けていないだろうな?」
「開けてませんて! ていうか、どうしてそんなに気になさるんです? あ、義姉様に見つかったら困るような、いやらしいご本が隠してあるとか?」
「馬鹿を言うな!」
アルベール様は、エミールの脛を蹴り飛ばすと、私に向かって「持ってませんからね」と仰った。
「……で、父上、これなのですが。バール男爵から麻薬を買っていた者のリストです。一枚だけ、お渡ししていませんでした」
ミレー公爵は、黙って書類に目を通し始めたが、やがて目を見張られた。鋭い眼差しで、アルベール様を見すえられる。
「アルベール。お前はこの一枚を、ずっと私に隠していたのか?」
「申し訳ございません」
アルベール様が、公爵に深々と頭を下げられる。気になった私は、書類をのぞき込んだ。名前の一覧を目で追っていたその時、私はあっと声を上げそうになった。
――バルバラ・ド・サリアン。
「バルバラ様が、バール男爵の顧客だったなんて……」
私は、呆然と呟いていた。それでアルベール様は、このリストを隠し続けていたのか。そういえば、最初にバール男爵との縁談を持ち込んだのは、バルバラ様だった気がする。こうして男爵と親しかったからこそ、彼との婚約を勧めたのかもしれない。
「義理とはいえ、モニクのお母上。捕まるようなことがあれば、彼女が悲しむと思ったのです」
アルベール様は、静かに仰った。
「ですがバルバラ夫人は、この度モニクの命を狙った。彼女を傷つける人間は、誰であろうが許せません。今回の襲撃事件のみでは、夫人は大した刑に処せられないと聞きました。でも、麻薬使用が発覚すれば極刑ですよね」
「アルベール!」
公爵が怒鳴る。次の瞬間、私は目を疑った。公爵は、アルベール様の頬を張り飛ばしたのだ。
「お前はそれでも、このモルフォア王国の王立騎士団員か! 私情で、犯罪者を庇うなど……」
「他の引き出しは、開けていないだろうな?」
「開けてませんて! ていうか、どうしてそんなに気になさるんです? あ、義姉様に見つかったら困るような、いやらしいご本が隠してあるとか?」
「馬鹿を言うな!」
アルベール様は、エミールの脛を蹴り飛ばすと、私に向かって「持ってませんからね」と仰った。
「……で、父上、これなのですが。バール男爵から麻薬を買っていた者のリストです。一枚だけ、お渡ししていませんでした」
ミレー公爵は、黙って書類に目を通し始めたが、やがて目を見張られた。鋭い眼差しで、アルベール様を見すえられる。
「アルベール。お前はこの一枚を、ずっと私に隠していたのか?」
「申し訳ございません」
アルベール様が、公爵に深々と頭を下げられる。気になった私は、書類をのぞき込んだ。名前の一覧を目で追っていたその時、私はあっと声を上げそうになった。
――バルバラ・ド・サリアン。
「バルバラ様が、バール男爵の顧客だったなんて……」
私は、呆然と呟いていた。それでアルベール様は、このリストを隠し続けていたのか。そういえば、最初にバール男爵との縁談を持ち込んだのは、バルバラ様だった気がする。こうして男爵と親しかったからこそ、彼との婚約を勧めたのかもしれない。
「義理とはいえ、モニクのお母上。捕まるようなことがあれば、彼女が悲しむと思ったのです」
アルベール様は、静かに仰った。
「ですがバルバラ夫人は、この度モニクの命を狙った。彼女を傷つける人間は、誰であろうが許せません。今回の襲撃事件のみでは、夫人は大した刑に処せられないと聞きました。でも、麻薬使用が発覚すれば極刑ですよね」
「アルベール!」
公爵が怒鳴る。次の瞬間、私は目を疑った。公爵は、アルベール様の頬を張り飛ばしたのだ。
「お前はそれでも、このモルフォア王国の王立騎士団員か! 私情で、犯罪者を庇うなど……」
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