指名手配勇者
真暗い深海に堕ちるように、闇の帳は世界を覆っている 深い闇の中でなお、人は神を信じ、勇者を讃え、魔物を恐れながら生きていた
だがその光は、あまりにも脆く、儚い
その世界を、一人の勇者が逃げ続けている
風縫いとさえ謳われた勇者“だった”者 だが今や彼は魔物として人々から指名手配され、処分対象として教会から追われる存在だった
彼は人間を嫌悪していた 何にでも縋り、他者を容易に穢し、醜く生き延びようとする人間を なにより、怯懦に塗れ何もできなかった自分自身を
「僕は僕が気持ち悪かった。だから、僕と同じ生物のお前たちもまた、吐き気がする」
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これは、死を恐れる勇者が終わりへと奔りながらもなお生を渇望する物語 これは、死骸群生のように、壊滅の輪に燐光を灯し続ける人間たちの残光の物語
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