バーテンダーは夜を隠す

 繁華街の外れにある。雑居ビルの地下に、そのバーはある。

 繁華街は、今日も噂話に花が咲いている。都市伝説から、街で発生した事故や事件の話。
 たくさんの噂が存在している。

「知っている?」

「何?」

「雑居ビルの地下にあるバーの話」

「え?何?知らない」

「昼間しか営業していないバーらしいのだけど、夜にバーに訪れると・・・」

「え?ホラー的な話?都市伝説?あのバーなら知っているけど、昼間しか空いてないよ?夜に行っても暗いだけだよ」

「うん。だから、強い。夜を焦がすくらいの”願い”が無いとダメ。”願い”の手助けをしてくれるみたい」

「手助け?」

「そう、”手助け”。それ以上でも、それ以下でもないって話だよ」

「へぇ・・・。でも、でも、あのマスターって・・・」

「うん。不思議だよね。いろいろ知っているけど、流行の話とかには疎いよね」

「うんうん。なんか、子供から急に大人になったみたいな人だよね」

「そうそう。それに、カウンターの奥の席には誰も座らせないみたいだよ」

「えぇ・・・。意味深」

「なんかね。私の友達が、聞いた話だよ。マスターの死んだ奥様の予約席だって・・・」

「えぇ嘘・・・。私は、あの席は、マスターの親友の予約席で、あのドライフラワーの送り主だって聞いたよ」

 変わったマスターが営む。バーシオン。
 昼間だけの営業時間だ。営業時間外に訪れる場合には、強い願いが必要になる。雑居ビルの地下で、本日も営業している。
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