香煙の魔女と顔無しの騎士 〜Forest in the mist〜

――昏い森の中に独り棲む、妖艶な美女。
そんな彼女の元を訪ねたのは、能面の様な顔をした騎士だった。

「やぁ、香煙の魔女」
「あら、ごきげんよう顔無しの騎士サマ」

この騎士は物心がつくまで娼婦に育てられたが、残念ながら彼女は産みの親ではなかった。

彼は生きる為、国王の駒となり戦場へと向かう。果たしてそれは母国の為なのか、それとも――。

「こんにちは、可愛い兵隊さん」
平和の為に身を捧げた一人の少女。
その笑顔は、儚くとも凛と咲く一輪の花のよう。
それは騎士の心に一つの野望の炎を燈らせた。

――あぁ。彼女が、欲しい。

香煙の魔女と感情を失くした顔無し騎士。そして白百合の姫。

「あら、夜分遅くに随分と物騒なお客様ですのね」

しかし周囲の思惑によって、彼らの関係は引き裂かれていく……




表紙イラスト/イトノコ(@misokooekaki)様より
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