黒と白の剣が交わるとき -世界の為の剣-

 処刑台には、人集りができていた。村人らしき男性が、処刑台前に立つ。

「やめッ…やめて…止めてよ。やめて…離せ、離せ、離せ、離せよ」

 取り押さえられた小さな子供が、大粒の涙を流し、必死に懇願する。

 そんな異常事態で、誰もが素知らぬ顔、目も合わせてくれない。

 無情にも、処刑人は一人の首を刎ねる。

「アーーーーッッ」

 父の首が飛ぶと、拘束は解かれたのだが、もう動く気力もなくなった。

 声を上げるだけで、何もできなかった。私はどうして、こんなにも無力なのだろう。

 力無きことは、罪だと知った。涙など流すだけ無駄だということも。

 剣を持たなければならない。力無き私には、武器が必要だ。
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