死配人ー惨贈の狂ー親切なおすそ分けー

そのマンションでは、やたらと“親切な人”ばかりが暮らしていた。

引っ越してきた川島光莉は、毎日のように“おすそ分け”を受け取る。
手料理、果物、煮物、スープ……誰もが笑顔で「気にしないで」と差し出す。

最初はありがたいと思っていた。だがある日、光莉はある疑念を抱く。

「……私、何か“代わりに渡すもの”を求められてる?」

冷蔵庫の奥に、誰も入れていないはずの何かがある。
鍋の底に沈む、歯。
笑い声が静かな夜に響き、訪問者は絶えず――

そして彼女は気づく。

“親切”とは、引き返せない儀式の第一段階だったことに。

笑顔の住人たちが揃うとき、「渡す側」の顔が完成する。
これは、“親切”という名の制度に取り込まれた女の記録である。
共助プロトコル_0→Terminationまで、全6章構成の儀式的ホラー。

※若干のグロテスク描写・猟奇的展開あり
苦手な方は閲覧をお控えください。
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