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呼び出し
しおりを挟むアンジェリークが、イザークの執務室に入ると、既にリザードてキルストの姿。
「………お父様、お呼びとか…。」
「………うむ、キルスト殿とアンジェリークの婚約の日取りを決めようと思ってな。」
「!?」
アンジェリークはリザードを見るがリザードは青ざめ、キルストも複雑な表情をしている。
「…………お父様?お兄様のお相手は………。」
「リザードには皇太子の座を降りてもらう。アンジェリークが王位に立ち、キルスト殿と国を守ってくれ。」
「お、お待ち下さい、お父様!!お兄様は皇太子として公務を全うし、お父様の補佐を頑張ってらっしゃいました。皇太子として信用していたのではないのですか?」
リザードが青ざめた表情はコレなのか?
と頭を過ぎるアンジェリーク。
「信用はしていた………しかし、私の事を裏切った。」
「お兄様は、お父様を裏切った事等ありません!………そうですわよね?お兄様!」
「…………リザード、ではお前が私に隠し付き合いを続けていた娘に子が宿った、と言ったのは、私への裏切りではないのか?」
「!!!」
言ってしまったのか!と思いリザードを見る。
「………よって、キルスト殿に王家に入ってもらい、アンジェリークを女王に、とな。それならリザードの正妃問題を待たずにアンジェリークの魔力増長の心配も要らぬ。」
「………お父様!!お兄様のお子とお子を宿した女性はどうするおつもりですか?蔑ろにすると?」
「リザードは王家追放だ。」
「!!!お父様!!!」
「婚約発表の日取りは良い日を決めさせている。キルスト殿も王宮に居住を移すように。………では、以上だ。下がっていいぞ。」
「……………お待ち下さい!!父上!!」
青ざめたリザードがやっと口を割る。
「………何だ?リザード。」
「確かに恋人は居ます……下級貴族の娘ですし、王宮に入れる身分ではありません。私とて、父上が望む相手を探した事もあります。ですが一番波長が合うのはその子しか居なかった。5年彼女を隠し、父上の紹介した子とも試しましたが、合わないのです。彼女が子を宿したと言ったのは嘘です。大事にしたいし、父上に認めて貰いたいので、純血も奪っておりません。父上は側室になら、と仰るが私は側室なんてしたくないのです。正妃にしたい。他の女を迎えたくもありません。父上が求めている治世を私が引継ぎたいのです。」
リザードが初めて父に盾を向く。
父を尊敬し、父の治世を忠実に公務を進んでやってきたリザードをアンジェリークは見ている。
今迄も言われるがまま、メルニアを隠しながら、見合いを繰り返しては断ってきたが、メルニアが下級貴族の娘としか話してこなかったようで、5年の歳月ひた隠しに守ってきたのには驚きだった。
「…………ふぅ~、やっと言ったか、リザード。」
「…………え?」
「………知らないと思ったか?お前が会いに行くのも見て見ぬ振りもしていたし、相手の娘が今この王宮で、アンジェリークに教育受けさせてるのも知っている。納得させるつもりだったんだろう?正妃に向いていない身分だから、側室にしか駄目だ、と以前言ったからな。一度言われたからか、一切お前は結婚の話を言わなくなり、女遊びを増やしていった。私に反抗もせずに、コソコソとな……。」
「……………お兄様、説得もしてなかったのですか?」
「……………聞き分けのいい息子で居たかったからな……。」
キルストもやや呆れ顔だ。
イザークはクスクスと微笑っている。
「…………だからといって、リザードの婚姻に関してはまだ解決していないぞ?さぁ、お前は父をどう説得する?」
リザードは気を取り直し、真剣な眼差しでイザークに説明し、熱弁したのだった。
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