宴の翌朝

くねひと

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#6 言葉で責めないで

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 トイレを済ませたミツルは洗面室を抜けてリビングに戻った。昨夜はジュンに縄尻を取られてだったが、今は一人で、ジュンを起こさないように忍び足で歩いていく。
 その先の寝室で、ジュンはまだぐっすりと寝ていた。玄関に近いリビングの壁には大きな姿見がしつらえてある。

(……昨夜、この姿見の前で僕はジュンの羞恥責めを受けたんだ…………)
 ソファの前の低いテーブルの上には半分空になったラムとコーラのボトル、そして水だけになってしまっている氷入とタンブラー………。テーブルから少し離れたカーペットには黒い布切れのようなものが固まって落ちていた。

 それはミツルのビキニパンツだった……。
 それら総てが昨夜の宴の痕跡だった…………。
 瞬時にミツルは昨夜、このリビングでジュンに受けた辱めを想いだしていた。ジュンはミツルをまず姿見の前に立たせたのだった。

 マリンブルーのTシャツにチェックのショートパンツでリラックスした装いのジュン……。そのジュンに縄尻を取られ、パンツ一枚で両手を厳しく後ろ手に縛りあげられているミツル………二人の立場の差は歴然としていた。でもそれだけではジュンは満足しない。ミツルの口からはっきりと隷属の言葉を言わせたいのだ。

「見なよ。こんな情けない格好にされてしまって」
 顔を伏せるミツルのあごに手をかけてジュンはミツルに姿見をちゃんとと見つめるようにと命じるのだった。

「羞かしくないの?」
「…は、羞かしいよ……」
「でも、ここはこんなに元気だよ」
 ジュンは片手で無防備なミツルの股間をさあっと撫で上げる。

「あああ…」
 うろたえたるミツル、そしてその反応を見てクスクスと忍び笑いをもらすジュン……
 不意にジュンが片手でパンツの縁を引っ張り、中を覗き込む。
「ホラ、こんなに元気だ…」
「や、止めて…」

 いつか小学校の友達に見られたように、ジュンに一番羞かしいところを見られている。でも、両手を縛られているミツルはジュンの手を払いのけることはできないのだ。

「や、……止めて……。羞かしい………」
「なぜ、こんなにしてるの?」
 ジュンはミツルの哀願には耳を貸さず、言葉責めを続けるのだった。
「答えなよ。なぜ、ここをこんなに大きくしてるのさ?」
 ジュンはでミツルそのものを指でパチンと弾いた。
「痛っ……」

 そして、パンツを摘んだまま、真下に押し下げたのだった。
「あああああ…」
 ミツルそのものが正面の姿見の中にくっきりと映し出される。
「パ、パンツを元に戻して…」
「答えればパンツは元に戻してやるさ」

 ミツルはジュンが自分に何を言わせたいか分かっている。でもミツルにとっては、それはたまらなく羞かしいことなのだ。
「答えないなら、このまま外の廊下に放っぽり出してやろうか」
ジュンはミツルの縄尻をぐいっと引っ張る。
「や、止めて。そんな馬鹿な真似………」
「じゃあ答えるんだ。なぜ大きくしているかを」

 このまま何も答えなければ、本当にジュンはミツルを廊下に放りだしかねなかった。
 ミツルにとってどちらに転んでも辱めからは逃れることができない二者択一だった。
 ミツルは観念した……

「そ、それは僕がマ、……」
「聞こえない。もっと大きな声で答えるんだ」
「それは、…僕がマ…マゾ、マゾだから………」

 やっとのことでそう答えるとミツルは目を閉じ、顔をさっと横にねじった。
「駄目だよ、ちゃんと前をみてなくちゃ」
 無慈悲にも、ジュンはミツルのあごに手をかける。
「…と言うことは虐められると感じちゃうってことかな?」

 ミツルは静かにうなずいた。
「ちゃんと言葉にして言うんだ」
「うっ!」
 再びジュンがミツルそのものを指でパチンと弾いた。

「虐められると、か、感じるんだ……」
 やっとの思いでミツルはジュンにそう告げる。
「じゃあ、今夜も虐めて欲しい?」
 うん…。ミツルは潤んだ瞳をジュンに向けた。

「ジュン……。ぼ、僕を気のすむように、い、虐めて………」
「よく言えたね……」
 ジュンは犬にご褒美を与えるようにミツルの髪を優しく撫で上げた。パンツは元の通り引き上げられ、ミツルはほっと息をつく。でもそれはしばしの安らぎでしかなかった。
 だって本当の責めはこれからだったのだから………。
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