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第五十七話 元カレ
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私が改めて感謝すると、ヴィルとグルーは照れたようにそっぽを向く。
「ふんっ。シオンも起きたことだし、ワシは息抜きさせてもらうぞ。疲れたからな」
「はいはい。気をつけてね~! でも、あまり目立たないようにね。今は透視魔法使えないから」
「わかっておる」
グルーは気まずいのか、そのまま部屋の窓から外へ出て行ってしまった。
首輪をつけているから、悪さをすることはないだろう。
「なぁ、シオン」
「うん? どうしたの、改まって」
「いや、その……移動はこれからグルーに乗ってではなく、なるべく徒歩にすることにしようと思って」
「あら、どういう風の吹き回し?」
「今回の件でオレはほとんど役に立たなかったから、ちょっとそれはどうなのかと思って。シュド=メルと対峙するどころか洗脳されてたくらいだし。だから、オレはもっとレベル上げないといけないと思ってな。できるだけ徒歩で移動して、魔物を倒してレベル上げしようと思ったんだ」
ヴィルがそんな殊勝なことを言うなんて……!
感動して口元を押さえる。
我が子の成長を感じる母の気持ちがわかった気がする……!
実際のところ、あのシュド=メルの推奨レベルは恐らく九十オーバーだと思うから、いくら今のヴィルがレベルを上げたところで正直戦力として数えるのはなかなか難しい。
けれど、せっかくの心がけを無碍にはできないし、向上心を持つことは大事だと思うので素直に嬉しかった。
それに、今はまだ戦力外ではあるが、現在レベル三十のヴィルがもう少しレベルアップしてくれたら頼りになるのは間違いない。
「そうだね。じゃあ、私が回復して移動できるようになったらそうしようか。それに、グルーのレベル上げもしないとね。グルーも対魔物で戦闘経験ってほとんどなさそうだし。あ、いっそ共闘とかもいいかもね」
「きょうとう?」
「ヴィルとグルーで一緒に技を出すの。相性良さそうだし、練習すればできるようになると思う」
「へぇ、そんなこともできるのか」
確か、魔物と一緒にタッグで技出す方法もあったはず……っと考えているときだった。
「やっぱり、シオンだ!」
第三者の声に驚いてそちらを見れば、私は見覚えのある顔に思わず目を剥いた。
「あっ、お前! あれほど入ってくるなと!」
「ダグ!? え、何でここにいるの!?」
「知り合いか?」
「あ、えっと…………元カレ……デス」
「ふんっ。シオンも起きたことだし、ワシは息抜きさせてもらうぞ。疲れたからな」
「はいはい。気をつけてね~! でも、あまり目立たないようにね。今は透視魔法使えないから」
「わかっておる」
グルーは気まずいのか、そのまま部屋の窓から外へ出て行ってしまった。
首輪をつけているから、悪さをすることはないだろう。
「なぁ、シオン」
「うん? どうしたの、改まって」
「いや、その……移動はこれからグルーに乗ってではなく、なるべく徒歩にすることにしようと思って」
「あら、どういう風の吹き回し?」
「今回の件でオレはほとんど役に立たなかったから、ちょっとそれはどうなのかと思って。シュド=メルと対峙するどころか洗脳されてたくらいだし。だから、オレはもっとレベル上げないといけないと思ってな。できるだけ徒歩で移動して、魔物を倒してレベル上げしようと思ったんだ」
ヴィルがそんな殊勝なことを言うなんて……!
感動して口元を押さえる。
我が子の成長を感じる母の気持ちがわかった気がする……!
実際のところ、あのシュド=メルの推奨レベルは恐らく九十オーバーだと思うから、いくら今のヴィルがレベルを上げたところで正直戦力として数えるのはなかなか難しい。
けれど、せっかくの心がけを無碍にはできないし、向上心を持つことは大事だと思うので素直に嬉しかった。
それに、今はまだ戦力外ではあるが、現在レベル三十のヴィルがもう少しレベルアップしてくれたら頼りになるのは間違いない。
「そうだね。じゃあ、私が回復して移動できるようになったらそうしようか。それに、グルーのレベル上げもしないとね。グルーも対魔物で戦闘経験ってほとんどなさそうだし。あ、いっそ共闘とかもいいかもね」
「きょうとう?」
「ヴィルとグルーで一緒に技を出すの。相性良さそうだし、練習すればできるようになると思う」
「へぇ、そんなこともできるのか」
確か、魔物と一緒にタッグで技出す方法もあったはず……っと考えているときだった。
「やっぱり、シオンだ!」
第三者の声に驚いてそちらを見れば、私は見覚えのある顔に思わず目を剥いた。
「あっ、お前! あれほど入ってくるなと!」
「ダグ!? え、何でここにいるの!?」
「知り合いか?」
「あ、えっと…………元カレ……デス」
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