黒熊騎士団長は、私の求婚を信じない
「……団長。私と結婚してください」
「承知した。副団長には俺から話を通そう」
「……違います」
子爵令嬢クラリスが求婚したのは、美形の副団長ではない。
王都で“黒熊”と恐れられる、強面の騎士団長ダリウス本人だった。
見上げなければ目も合わないほどの巨漢で、顔には大きな傷。けれど彼は、負傷者を誰より先に助け、泣く子どもには血のついた手を隠す、不器用で優しい人だった。
そんな彼に惹かれたクラリスは自ら求婚するが、ダリウスはどうしても信じてくれない。
なぜなら過去、自分へ近づいてきた九人の令嬢全員が、最後には美貌の副団長への紹介を頼んだから。
ならば十人目の私は、行動で証明する。
騎士団の施療室へ通い、彼の隣で負傷者を救い、それでもなお「あなたが好きです」と伝え続けるクラリス。
やがてダリウスは彼女の気持ちを信じる。
――それでも、求婚を断った。
「あなたは私のためと言いながら、私が誰を選ぶべきか勝手に決めています」
愛されることだけは怖い強面騎士団長と、自分の幸せは自分で選びたい令嬢。
大きすぎる外套も、傷のある顔も、震える巨大な手も全部好き。
小柄な令嬢が“黒熊”の臆病な恋心を正面から攻略する、体格差逆求婚ラブコメ。
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