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129話
しおりを挟むメイド長と一緒に、とりあえず私の執務室に向かっていると、その最中も
「ジュリア様って.......」
「いや、でも違うと思うけど.......」
コソコソとジュリアの話をしているのが耳に入ってきますわ。
まぁ、私とメイド長に気付いて皆都合の悪そうな顔をしながら逃げていってしまうんですが。
今まで良い関係を築いていたと思ったんですが、気のせいだったんでしょうか。
と思ってしまうほどの変わりようですわ。
それほどまでに、ジュリアがメイドになることに対して、何かと思うことがあるんでしょうね。
そう思いながら、後ろを歩いているメイド長をチラッと見てみると、私と同じくメイド達の会話が聞こえているようで、なんだか複雑そうな顔をしています。
やっぱりそういう顔になりますわよね.......。
気持ちは凄くわかりますわ。
メイド長はジュリアの件の話をすべて把握していますし、ですがメイド達の言っている意味もわかる、という一番複雑な立ち位置にいるんですもの。
どうにかしないと、という思いでいっぱいなんでしょう。
なんてことを思っているうちに、執務室に到着しましたわ。
執務室に入ると、早速話をしたがっていたメイド長にとりあえず
「話が長くなりそうだし、一旦座りましょう」
と声をかけると、一瞬固まっていましたが、すぐに元に戻って
「いえ、私は経ったままで大丈夫です」
そう言われてしまいましたわ。
まぁ、一般的にもメイドと主人が一緒に座って話すなんてことはあり得ませんからね。
なのでメイド長は驚いてしまったんでしょうけど、私としては自分だけが座ってメイド長が立っている、という状況が何となく嫌なので言っただけなんですけどね。
なんて思いながら、つい苦笑しながら
「そんなこと言わないで頂戴」
そう言って椅子に座るように促すと、渋々、という様子でしたがなんとか
「では失礼します」
と言って椅子に座ってくれましたわ。
うーん.....なんだか落ち着かない様子でソワソワしていますが、慣れていないんでしょうね。
なんだかその姿を見て、つい微笑ましくも思えますが、今はそれどころではありませんわね。
そう思って、
「さて、大体の内容は察しているけど話を聞かせて?」
真剣な顔をしてメイド長を見つめると、
「皇妃様がお察しの通りジュリアについてです」
と話し始めましたわ。
私が思っていた通り、ジュリアが望んでメイドになった、という説明だけでは納得と言いますか、何か思うことがあるみたいで、真実とは違った憶測が出ているみたいですわ。
これには
「そうみたいね。私もその件について、何かしらの対処をしないとと考えていたところですわ」
そう言って苦笑すると、メイド長も何とも言えない顔をして頷いていますわ。
まぁ、多少はそういうこともあるだろうと想定していましたが、まさかこんなにも不満が広まるとは思いませんでしたわ。
あとは、メイド長やカーラ達がジュリアに付きっきり、というのも正直面白くは思っていないでしょうね。
いくら下っ端から、とはいえ最近までお世話した人が急に一緒に働く、というのも対応の仕方がわからないでしょうし。
はぁ......これは完全に私の判断ミスでしたわね。
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