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第48話

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 学院の卒業と同時に、ゴールディアとビュワードがルーサーを連れて、王都近くのミリタス侯爵家に戻るという話が広がり始めると、自分も連れて行ってほしいという生徒たちが雨後の筍のように現れ始めた。

「もうっ!しつこいったらないわ」
「まあ、みんな田舎を抜け出すチャンスだって思ってるんですよ」

 ルーサーはその気持ちが痛いほどわかった。

「それでも見も知らない者から、声をかけられ続けてうんざりよ」
「そうだったのか、ディアはいつも優しく断っているから知らなかったよ」

 ビュワードが「優しく断っている」と言ったのを聞いて、ルーサーは「はあ?」と声を上げた。

「ビュワード様、本気で言ってます?」

 どう見ても、けんもほろろの塩対応なのだが。

「うん?勿論だよ。ディアは優しいから、厳しい言葉を言うのだって相手を思ってのことだから」

 そして何故か頬を染める。

 ─それは惚れた欲目って奴だぞ─

 美人だとは思うが、ビュワードが言う優しさはよくわからないことが多いルーサーだった。



 王都に出るための伝手を持ちたがる訪問者たちを片っ端から断り続けて、ゴールディア一行、ゴールディアとビュワード、ルーサーとその兄コーズでミリタス領へ向かう日。
 屋敷はビュワードのいつかあるかもしれない里帰りに備えて残し、今学院で働いている教員たちが住まえるように変えた。
家賃を貰い、管理費に当てようというのだ。

「なんだ、タダじゃないの」

 シルヴィアが口を尖らせたが。

「まあいいか、この辺の人ってこの屋敷にすごーく憧れてるから、住んでいると言ったら羨ましがられること間違いなしだものね!」

 そんなことを言ってミリタスからの移住組たちが部屋を埋めていく。

「このくらい人が住めば、使用人を何人か置いても半分くらいの経費にはなりそうだから、あとは私が負担してもいいわね」

 せこいって?違う違う。
金持ち令嬢だが、ゴールディアは意外としっかりしているのだ。

「そういう頼りになるところもぃぃ・・・」

 ビュワードはまたゴールディアを絶賛する。
それを聞いたコーズがルーサーに囁いた。

「ビュワード様って、ゴールディア様なら何でもいいのか?」
「うむ、正にそれだ!」

 兄弟は、普段おとなしいビュワードが、ゴールディアだけは思うまま大袈裟に褒め倒すことが不思議で、でもとても幸せそうだと、生暖かい目で見守ることにした。
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