イチゴの行く道
「若いもんは夢を追わなあかん」
そう言われるのは、いつも兄貴だけだった。
母の事故をきっかけに、工業高校を辞めて家業の農業を支えることになった俺。自動車整備の道を諦め、東京で音楽の夢を追う兄への仕送りまで背負いながら、畑に立ち続けた。
やがて始めたイチゴ栽培は、借金を返すための仕事から、俺自身の喜びへと変わっていく。
ところが、十年ぶりに帰ってきた兄を、家族は当然のように跡取りに据えた。
「家の土地でやっとるんや。イチゴも家族のもんや」
借金を返したのも、苗を育てたのも俺だった。それでも、兄が農園の顔になり、俺の仕事は「手伝い」にされていく。
家族のためなら、自分の人生は後回しでいいのか。
この家を離れたら、好きになったイチゴまで手放さなければならないのか。
土と機械の油に汚れた手で、男は自分の居場所と生き方を選び直そうとする。
そう言われるのは、いつも兄貴だけだった。
母の事故をきっかけに、工業高校を辞めて家業の農業を支えることになった俺。自動車整備の道を諦め、東京で音楽の夢を追う兄への仕送りまで背負いながら、畑に立ち続けた。
やがて始めたイチゴ栽培は、借金を返すための仕事から、俺自身の喜びへと変わっていく。
ところが、十年ぶりに帰ってきた兄を、家族は当然のように跡取りに据えた。
「家の土地でやっとるんや。イチゴも家族のもんや」
借金を返したのも、苗を育てたのも俺だった。それでも、兄が農園の顔になり、俺の仕事は「手伝い」にされていく。
家族のためなら、自分の人生は後回しでいいのか。
この家を離れたら、好きになったイチゴまで手放さなければならないのか。
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