最悪の婚姻から始まるただ一つの愛

最悪の婚姻だった。

皇太子の正室として迎えられながら、
与えられたのは祝福ではなく、冷たい部屋と拒絶だけ。
触れられることすら恐ろしく、
ただ静かに時間が過ぎるのを待つしかなかった。

けれど——

差し出された手は、思っていたものとは違っていた。

無理に触れない。
急がない。
ただ、こちらの様子を確かめるように、少しずつ距離を縮めてくる。

気づけば、隣に座ることが当たり前になり、
言葉を交わす時間が、夜の習慣になっていた。

触れられるたびに怖さは消え、
代わりに残るのは、離れがたい温もり。

これは、最悪の婚姻から始まった関係が、
やがて“ただ一人”へと変わっていく物語。

望まれなかったはずのはじまりが、
いつしか、何よりも大切なものになるまでの——
静かで、優しい、溺れるような愛の記録。
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