明怪記
文明開化の光が照らす帝都に、古き闇が蠢く――。 交わらぬ「二つの正義」が、時代の怨嗟を斬り拓く和風歴史伝奇譚。
明治七年、東京。 西欧化の波と廃仏毀釈の嵐が吹き荒れる中、封印を解かれた古き怪異や、時代の敗者たちの怨霊が帝都の闇に跋扈していた。
市井に身を潜める新聞記者・辰巳勘治。 四国の妖怪狩り氏族を出奔した過去を持つ彼は、過去の後悔を胸に、目の前で脅かされる名もなき人々を救う「小さな正義」のために泥臭く刃を振るう。
一方、帝都の秩序を守るため京都から下向した陰陽剣客・稲守葛葉。 白狐の霊力と黒鉄の鎧を纏う彼女は、国家と大義のための「大きな正義」を信じ、個人の情を捨てて怪異を冷徹に斬り捨てる。
目の前の命を拾い集める男と、国家の安寧のために切り捨てる女。 決して交わるはずのなかった二つの正義は、やがて東京から日本全国を巡る過酷な旅路の中で激突し、時代の歪みに呑まれた哀しき者たちの声を聞くことになる――。
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