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父母が来た

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 私は身体がちゃんと元のようになるまでの間、一生懸命に回復魔法のグレードをあげる訓練をした。

 ディート様は私にピッタリ寄り添って訓練も手伝ってくれた。

 獣人の愛って凄いなぁと思う。いままで甘やかされなかった私には、こんな愛が喉から手が出るくらい欲しかったのかもしれない。

 王太子の婚約者だった私に求められていたものはこの国では一切求められない。
ただただ甘やかされて守られていればいいのだ。

 私がどんなに無茶をしても絶対助けに来てくれる。いつも後始末をしていた私は後始末をしてくれる人がいることの幸せを噛み締めている。

 ただ、カール様と元王妃様の事は気になる。

 早く力をつけて2人を普通に生活できるところまで回復させたい。

 元王妃様は小さい頃から私によくしてくれた。カール様だって困った弟のようなものだ。

 婚約解消の事は色々思うところはあったけど、愛していたわけじゃないから全く傷付いてはいない。

 国もあんなことになったし、遠いこの地から私にできることはないかと思う。


 私がひとりで歩けるようになった頃、父母が来た。

 父母は全く蚊帳の外だったので何も知らなかったらしい。

 ほんとかしら? まぁ別にいいけど。

「エル、大丈夫か。知らなかったとはいえ、辛い時に来れずに申し訳なかった」

「本当にごめんなさいね。もっと早く来なければいけなかったのに」

 父母は本当に心配しているようだ。

「大丈夫ですわ。ディート様をはじめ、ドルナー家の皆さんには本当にお世話になっています。おふたりからもお礼を申し上げて下さいね」

「もちろんだとも。ローゼにもお礼を言っておいたよ」

 そうだ。この国に呼んでくれたローゼ姉様には足を向けて寝られない。

「そういえばマリウス達はどうしているのですか?」

 私はふと気になり父に尋ねた。

「マリウスはテオドールと一緒に国のために動いているようだ。ラメルテオンは議会で政治を行うらしい。初代のプレジデントはマーロックスがやるらしい。ミカルディスが抜けてスッキリしたみたいだな。それにしてもミカルディスは娘に裏切られるなんてなぁ」

 マチルダ姉様の夫のマーロックス侯爵か。あの家は商人の家だ。いいと思う。マチルダ姉様はミカルディス家を嫌っていたものね。

 また会いたいわね。

「マチルダ姉様にまた会いたいですわ」

「会えるさいくらでも。エルは移動魔法が使えるしな」

 いやそう言う物理的な意味ではないのに。

「私、もう少し身体が戻ったらまたラメルテオンに行こうと思っているの。元王妃様とカール様をなんとかしたいのよ」

 父は苦々しい顔をした。

「ほっとけばいい。エルはあいつのせいで死にかけたんだ」

「でも、王妃様にはお世話になったわ」

「では、王妃だけ助ければいい。殿下はほっとけ」

 まったくもう。

 父母は私の元気な姿を見て「また来る」と言いリズミックに帰って行った。

 全く何をしに来たのかしらね。

 どうやら、ディート様と私の婚儀の話をしに来たらしい。あとでお義母様から聞いた。

 父母はディート様と結婚する事をとても喜んでいたそうだ。

 私にはそんな話は全くしなかったのに。
訳がわからないな。


 私は今日も回復のために特別に獣人の薬師が作ってくれたよく効くポーションを飲んで眠る。

 早く元気になるぞ!!
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