風邪ひき男に、風の音は聞こえるか?

白石一真には、風邪をひくたびに現れる奇妙な能力があった。
――他人の「心の声」が聞こえてしまう力。

鼻水と咳に悩まされながら、彼の耳に届くのは日常のささいな秘密ばかり。
だが、その日だけは違った。
[あの企業を燃やす」「イベント会場を爆破する」
あまりにも危険すぎる声が、群衆のざわめきに紛れて押し寄せてきたのだ。

街を揺るがすテロ組織。
その影で動く対抗組織。
そして彼らを追い詰める公安。

三つ巴の策略がぶつかり合う中、ただの風邪ひきにすぎないはずの青年は、否応なく国家規模のサスペンスの中心へと引きずり込まれていく。

人は変われるのか。暴力を超える術はあるのか。
そして「風邪ひき男の能力」は、その答えを導けるのか――。
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