伯爵閣下の褒賞品

 長い戦争を終わらせた英雄は、新たな爵位と領地そして金銭に家畜と様々な褒賞品を手に入れた。
 しかしその褒賞品の一つ。〝妻〟の存在が英雄を悩ませる。

 巨漢で強面、戦ばかりで女性の扱いは分からない。元来口下手で気の利いた話も出来そうにない。いくら国王陛下の命令とは言え、そんな自分に嫁いでくるのは酷だろう。
 互いの体裁を取り繕うために一年。

「この離縁届を預けておく、一年後ならば自由にしてくれて構わない」

 これが英雄の考えた譲歩だった。

 しかし英雄は知らなかった。
 選ばれたはずの妻が唯一希少な好みの持ち主で、彼女は選ばれたのではなく自ら志願して妻になったことを……

 別れたい英雄と、別れたくない褒賞品のお話です。


※設定違いの姉妹作品「伯爵閣下の褒章品(あ)」を公開中。
 よろしければ合わせて読んでみてください。
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