伯爵閣下の褒賞品(あ)
六年続いた戦争は王国の勝利で幕を閉じた。
そこでもっとも戦果を上げたフィリベルトは英雄と称されて、前代未聞の褒章品〝妻〟を賜った。
顔は四角く目は細く鋭い。体躯が良い軍人に混じってもなお頭一つ飛び出る大きな体。せめてパーツの均整がとれていればマシだっただろうが、残念ながら彼は胴に比べて足の長さは人並みで、パーツのバランスはすこぶる悪い。
隊を指揮をする際にはよく通る大きな声も、それ以外の場になれば空気を損なう。
そんな顔・体に似合わずな彼は場の空気を乱さぬよう、寡黙を貫き、気づけばすっかり口下手に。
そう言うことが積み重なって付いたあだ名は『灰色熊』。
彼は口下手だが耳が遠いわけでも馬鹿でもない。その噂を知っていたフィリベルトは女性が望んで嫁いでくる訳がないことも理解していた。
だがこれは国王陛下より賜った婚姻。
即離婚は不味かろう。
しかし一年も間を開ければ……
そんな卑屈な事を考えていた英雄に、前代未聞の褒章品〝妻〟は一つの提案をする。
「まずは交際関係から始めませんか」
その提案は英雄にとっても願ったり、英雄はその条件を許諾した。
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