幻日
中学校の卒業を間近に控えた青音は、気持ちの切り替えをするために部屋の片付けをしようと意気込んでいたものの、結局思うように作業が進まず途中で飽きてしまった。そこで気分転換にとクローゼットで見つけたフォトアルバムの再生を始める。しばらく懐かしんで見ていたけれど、目を疑いたくなる写真を見つけてしまった。
…彼は今と全く変わらない姿でそこにいたのだ。
違和感と消化不良な感情を抱いた碧音は直接桂の元へと向かった。ただ、最近はよく青音が様子を見に行くほど留守が多い。いるかどうかもわからない、この家の主「名もなき道化師」の異名を持っていて、一階で本の貸し出しと雑貨の販売、二階は透かし彫りの工房となっている。この家は居心地が良くて碧音のお気に入りの場所である。桂から許可されているが、悩み事がある時や一人になりたい時にも勝手に来るようになった。
フォトアルバムに残っていた数々の写真が語りだす桂の秘密。そして碧音自身の秘密が少しづつ明らかになっていく。自分は何のために生まれ、誰かに必要とされているのだろうか。いつか憧れの存在である桂のように誰かのことを失いたくないと思えることがあるのだろうか。
環境を変えるため街を離れ生活していく中で、信頼できる友と出会い短すぎる時間を共有した。大切なものを失って初めて気付く思いなんて、つらくて悲しかったでもそんな感情と出逢ってやっと、僕は桂にほんのちょっとだけ近づけたのかも知れない。
一応、青音の中でいろいろな思いが一区切りつき、街に戻ってきた彼は、どこかしっくりこない街並みを不思議に思いながら帰路に着いた。その理由が自らの成長に関係しているかもしれないと思った時、どうしようもなく不安になり桂に会いたくなった。
一番聞きたくて、聞きたくない問いかけをした青音は桂の言葉を信じるしかできない。碧音の真実と桂の真実…すべて明らかになった時、桂は幸せな笑顔で光に溶けて消えていった。大きなガラスのキャンバスに最高の情景を残して。
…彼は今と全く変わらない姿でそこにいたのだ。
違和感と消化不良な感情を抱いた碧音は直接桂の元へと向かった。ただ、最近はよく青音が様子を見に行くほど留守が多い。いるかどうかもわからない、この家の主「名もなき道化師」の異名を持っていて、一階で本の貸し出しと雑貨の販売、二階は透かし彫りの工房となっている。この家は居心地が良くて碧音のお気に入りの場所である。桂から許可されているが、悩み事がある時や一人になりたい時にも勝手に来るようになった。
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一番聞きたくて、聞きたくない問いかけをした青音は桂の言葉を信じるしかできない。碧音の真実と桂の真実…すべて明らかになった時、桂は幸せな笑顔で光に溶けて消えていった。大きなガラスのキャンバスに最高の情景を残して。
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