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第三章 獣人の国に咲いた魔女の毒花編

閑話 元国王と元王子

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竜人王の城の元国王の牢屋の中に現れた、あっちこっちにジャラジャラと付けた銀のアクセサリーに、袖の長い黒いローブ着た若い男。

「ねえ、ねえ恨んでィる?」

「誰だ貴様は!」

「僕はマル。ふふ、恨んでィない?」

いきなり目の前に現れた、少し話し方の変わった男…かなり不気味だ。

「わしは誰も恨んでなどおらぬ!」

「あれれ、おっかしいな、へぇんだなぁ?話が違うね、まったく違うね」

変な男は左右に首を傾げ、あちこちに付けた銀のアクセサリーがジャラジャラと鳴らし、おかしいな、おかしいを連呼する。

「何がおかしい!」

「彼の方がここで、恨みを感じたとおっしゃっていたのにね…まあいいやお前がどうなろうと知ったことではない!」

ニヤッと、感情が感じられない笑を浮かべてい近付いてくる。


「助けてくれ!」


いつも話しかけてる、鏡に向かって叫んだが直ぐに返ってくる反応がない。

いまは、いないのか?


「ハハは無理だよ、誰にも僕は見つからないよ…さあ、このタネを飲んで生えろ、あの方の為に咲きまくれ!」

「やめろ!」

口の中にタネを放り込まれ飲まされた。


「グハァ…なっ、何だこれは…」

立っている事ができず床に倒れ込んだ、腹の中がうねり、煮えたぎるように熱い。

苦しみ、もがく、わしを男は上から感情の読み取れない目で見ていたが。


口元だけニッコリと笑い。


「ありゃりゃ、これは失敗だね…実験失敗!おっかしいな?隣のもう1人かな?」


「やめろ、やめてくれ!」


その願いも虚しく奴は、息子にも同じように迫りタネを飲ませたのだろう。

やめろと叫ぶ声と、奴の楽しそうな笑い声を聞いた。

その後すぐわしと同じく、息子はもがき苦しんでいた。

「何でコイツらに恨みがない?どうして?何故?」

奴の独り言が聞こえる。

「不思議だね…まあ、いいかどうにでもなるかな?」


ああ、意識が朦朧と…する。


落ちて行く意識の中で奴の笑う声を聞いた。


「アハ、おっかしいな…あの子には成功したのになぁ」……と。
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