水平線の果てのニライカナイ
高校の同級生だった天草澪(あまくさ・みお)と深見雫(ふかみ・しずく)。
進路に悩んでいた二人は、「二人で生きていける仕事をつくろう」と考え、エンターテインメントユニットを結成する。
打ち込みで音楽を制作することが趣味だった澪と、韓国の女性アイドルグループに憧れ、歌とダンスを磨き続けてきた雫。澪が楽曲を作り、雫が踊る。その活動は動画投稿サイトやSNSを通じて少しずつ注目を集め、やがて芸能プロダクションの目に留まる。
女性アイドルユニットとして活動を始めた二人は、音楽番組やライブ、ドラマ、バラエティなど、活躍の場を少しずつ広げていく。それは「夢」だったというより、二人で生き続けるために選んだ道だった。
けれど、人気が高まるほど、二人だけの世界は少しずつ形を変え始める。
仕事を通じて増えていく人との出会い。絶えない熱愛報道。世間から向けられる期待と憶測。そして、「アイドル」という立場が許さない本音。
澪は、誰にも打ち明けられない想いを胸の奥に抱えながら、ただ雫の隣に立ち続けようとする。しかし、その想いは友情と呼ぶには重く、恋と呼ぶにはあまりにも不器用だった。
一方の雫もまた、華やかな世界の中で理想と現実の狭間に揺れ、自分でも気づかない孤独を抱えていく。
成功すればするほど、近づいているはずなのに、少しずつすれ違っていく二人。
それでも澪は、雫を失いたくなかった。
だからこそ、ある日、二人の関係を大きく変える一つの提案をする。
その選択が、ユニットとしての未来を守ることになるのか、それとも壊してしまうのか――。
水平線の向こうにあると信じた理想郷は、手を伸ばせば届く場所ではなかったのかもしれない。
これは、二人だけの居場所を守ろうとした少女たちが、「バディ」であり続けることと、「誰よりも特別な存在」でありたいという願いの狭間でもがき続ける、切なくも危うい青春芸能小説。
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