純心パラドックス

 もし、自分が好きになった相手が――身近な存在だとしたら?
 それが手の届かない存在で……好きになってはいけない相手だと判った時、どんな選択肢が残るだろう。
 両親の仕事の都合で、俺たち兄弟は一つ屋根の下、二人暮らしをしている。
 兄の日景。そして俺が弟の日向。互いに顔だけはそっくりなのに、性格はまるで正反対。
 日向はお人好しで誰にでも優しい。そんな姿に苛立ち――だからつい、したくもない喧嘩ばかりしてしまう。
 けれど、その日は違っていた。
 一方的に喧嘩をして学校で別れるまではいつものこと。
 なのに、同じ部活の友人から日向が告白されていたなんて話を聞いてしまったのがいけなかった。
「神様、頼むよ……」
 自分ではどうしようもない感情が、想いが、ただただ胸を締め付ける。
「どうか、この想いを消してくれ……」
 気づかないままでいさせて欲しいと神様に願った筈なのに――目を覚ますと何故か互いの身体が入れ替わっていた。
 
 朝の出会いはサイアク。入れ替わった理由も原因不明。気まぐれな神様の悪戯だとしたらタチが悪い……!
 そんなこんなで、入れ替わった身体のまま過ごすことになった秋の休日。
 戸惑いと苛立ちを互いにぶつけ合いながら、押し込めていた本心(おもい)を暴露した瞬間、
「日向のこと、もっと教えて」
 迫ってくる日景の言葉に抗えなくなった俺は思い知らされる。
 日景も俺のことをどう想っていたのかを……。
 
 双子(きょうだい)どうしの入れ替わり。相反する想いの先に生まれるパラドックスとは――?
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