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新しい恋。
バズール編③
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訳のわからないことしか言わないリリアンナ殿下とこれ以上話なんてしたくなかった。
「リリアンナ殿下、わたしは他国から来た留学生でしかありません。ニ年でこの国を去ります。わたしに関わる時間は貴女にとって無駄な時間でしかないと思います」
「どうしてかしら?わたしは貴方とお話をしたいわ、それに貴方が何を思って何を見ているのか知りたいの」
「わたしのことを知ってどうするのですか?」
「だって貴方の瞳はいつも何かを探しているもの、わたしのことなんて見ていないわ、その瞳にわたしを映してみたいの。だってわたしはみんなに愛されているのよ?貴方にも愛されるべきだもの」
「は?なんですかその発想」
俺はこの人の訳のわからない発想に思わず笑ってしまった。リーリエ嬢と変わらない考えの人でリーリエ嬢のように執着されるのだと思っていた。
なのに彼女は俺の気持ちを知りもしないのに見抜いている。
俺はいつも自然とライナを目で追っている。ずっと諦めていたライナ。やっと俺にもチャンスが回ってきた。絶対に諦めたくなかった。
この人のせいで俺の邪魔をされたくはない。
なのに彼女は我儘なだけの発言のはずなのに……
「リリアンナ殿下、俺が貴方を愛することはありません」
と言いながらも思わず笑ってしまった。
この人がみんなから愛される理由がなんとなくわかってしまう。我儘で強引なのについ許してしまいたくなる、そんな可愛らしさがこの人にはある。
屈託のない笑顔につい言う事を聞いてしまいたくなる魅力がある。
「あら?わたしを愛さない人がいるなんて…ふふ、じゃあ愛してもらえるようにするにはどうすればいい?」
「……ではとりあえず今日はこれで解散しましょう。殿下の護衛騎士たちもイライラされていますからね。まだ不敬で捕まりたくはありませんので」
そう言って「では失礼致します」と頭を下げて帰ろうとしたら
「バズール、貴方わたしの側近になりなさい。これは命令よ」
俺は思わず振り返った。
「気に入ったわ。留学中、わたしのために尽くしなさい」
「……はい?」
俺の留学生活、残り1年と9ヶ月。
断ることはできずリリアンナ殿下の側近として過ごさなければならなくなった。
「バズール、行くわよ」
気がつけば俺は取り巻きの一人として見られている。
が、本当はその後ギルバート様のところへ俺は突撃して、
「どうしてわたしがリリアンナ殿下の側近に正式になったんですか?」
と、問い詰めた。
「うーん、君、リリアンナに対して塩対応だったらしいね、気に入られてしまったんだよ」
ギルバート様も困った顔をしていた。
この人を責めても仕方がないのはわかっていた。でもこの学校で話が出来るのはこの方だけなのだ。
俺はイライラしながらもなんとか抑えていた。
「だからと言ってあと1年と9ヶ月しかこの国にいないわたしに………」
「バズールだっけ?俺の妹が迷惑かけてごめんね、とりあえずよろしく」
隣にいる男性は国王陛下の兄上で、カイと呼ばれる方だった。
王族として過ごすことはなく、今は平民として家族と過ごしている。
だけど陛下の片腕で、才能も実力も本当は陛下以上だと言われているらしい。
「バズール、君が優秀なのはわかっている。だからこそいい経験になると思うよ。君は自国でも王太子の側近候補として過ごしてきた、あの我儘リリアンナの手綱を引いてくれそうだ、期待しているよ」
ーー王兄まで出てきたらもう断れない。
そして俺は仕方なく「取り巻き」の一人になった。
◆ ◆ ◆
短くてすみません。
「リリアンナ殿下、わたしは他国から来た留学生でしかありません。ニ年でこの国を去ります。わたしに関わる時間は貴女にとって無駄な時間でしかないと思います」
「どうしてかしら?わたしは貴方とお話をしたいわ、それに貴方が何を思って何を見ているのか知りたいの」
「わたしのことを知ってどうするのですか?」
「だって貴方の瞳はいつも何かを探しているもの、わたしのことなんて見ていないわ、その瞳にわたしを映してみたいの。だってわたしはみんなに愛されているのよ?貴方にも愛されるべきだもの」
「は?なんですかその発想」
俺はこの人の訳のわからない発想に思わず笑ってしまった。リーリエ嬢と変わらない考えの人でリーリエ嬢のように執着されるのだと思っていた。
なのに彼女は俺の気持ちを知りもしないのに見抜いている。
俺はいつも自然とライナを目で追っている。ずっと諦めていたライナ。やっと俺にもチャンスが回ってきた。絶対に諦めたくなかった。
この人のせいで俺の邪魔をされたくはない。
なのに彼女は我儘なだけの発言のはずなのに……
「リリアンナ殿下、俺が貴方を愛することはありません」
と言いながらも思わず笑ってしまった。
この人がみんなから愛される理由がなんとなくわかってしまう。我儘で強引なのについ許してしまいたくなる、そんな可愛らしさがこの人にはある。
屈託のない笑顔につい言う事を聞いてしまいたくなる魅力がある。
「あら?わたしを愛さない人がいるなんて…ふふ、じゃあ愛してもらえるようにするにはどうすればいい?」
「……ではとりあえず今日はこれで解散しましょう。殿下の護衛騎士たちもイライラされていますからね。まだ不敬で捕まりたくはありませんので」
そう言って「では失礼致します」と頭を下げて帰ろうとしたら
「バズール、貴方わたしの側近になりなさい。これは命令よ」
俺は思わず振り返った。
「気に入ったわ。留学中、わたしのために尽くしなさい」
「……はい?」
俺の留学生活、残り1年と9ヶ月。
断ることはできずリリアンナ殿下の側近として過ごさなければならなくなった。
「バズール、行くわよ」
気がつけば俺は取り巻きの一人として見られている。
が、本当はその後ギルバート様のところへ俺は突撃して、
「どうしてわたしがリリアンナ殿下の側近に正式になったんですか?」
と、問い詰めた。
「うーん、君、リリアンナに対して塩対応だったらしいね、気に入られてしまったんだよ」
ギルバート様も困った顔をしていた。
この人を責めても仕方がないのはわかっていた。でもこの学校で話が出来るのはこの方だけなのだ。
俺はイライラしながらもなんとか抑えていた。
「だからと言ってあと1年と9ヶ月しかこの国にいないわたしに………」
「バズールだっけ?俺の妹が迷惑かけてごめんね、とりあえずよろしく」
隣にいる男性は国王陛下の兄上で、カイと呼ばれる方だった。
王族として過ごすことはなく、今は平民として家族と過ごしている。
だけど陛下の片腕で、才能も実力も本当は陛下以上だと言われているらしい。
「バズール、君が優秀なのはわかっている。だからこそいい経験になると思うよ。君は自国でも王太子の側近候補として過ごしてきた、あの我儘リリアンナの手綱を引いてくれそうだ、期待しているよ」
ーー王兄まで出てきたらもう断れない。
そして俺は仕方なく「取り巻き」の一人になった。
◆ ◆ ◆
短くてすみません。
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