君に捧げるティアドロップ
涙がダイヤモンドに変わる。それは、朝比奈澪にとって祝福ではなく呪いだった。
幼い頃から、涙を宝石として売られてきた澪。悲しくなくても泣くことを強いられ、自分の涙に値段がつけられる日々を送っていた。
そんなある日、公園でひとり涙を流していた澪は、見知らぬ男性から一枚のハンカチを差し出される。
「何も、聞かないんですか?」
「聞いてほしいですか?」
その男性は、何も求めず、ただ澪の涙を拭うことだけを考えてくれた。
彼の名前は久世怜司。宝石を扱うジュエリーデザイナーだった。
泣けば価値が生まれると教えられてきた青年と、宝石よりも彼自身を大切にしようとする男性。
少しずつ惹かれ合う二人だったが、怜司の亡き父が遺した一粒のダイヤモンドには、澪の過去に繋がる秘密が隠されていて――。
これは、涙を売ることでしか生きられなかった青年が、初めて自分の幸せを選ぶまでの物語。
そしていつか、悲しみではなく幸福のために涙を流せるようになるまでの、切なくも優しい恋のお話。
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