恋に憧れ
30歳の薄鉢亜沙美(うすはち あさみ)は、恋をしたことがない。
誰かを好きになり、選ばれ、一緒に生活を営む――そんな感覚を知らないまま生きてきた。
ある日、職場の古書店の奥棚で見つけたのは、見知らぬ女性が本に残した書き込みと、『続きを考えてみてほしい』と書かれた便箋だった。
記述を追うごとに見えてくるのは、理想と現実の間で相手の不完全さを許していく「完成した関係」のグラデーション。
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