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第1章
No.7
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「陛下、こちらの書類にサインをお願いします」
そう言って宰相であるドランが束になった書類を渡してくる。
「多くないか?」
「こちらは全て騎士団の書類になります」
その言葉に、親友を思い浮かべる。
「アルは…アルフォンス将軍は?」
「将軍は、相変わらずです」
「そうか…」
18年前のあの日。
アルの番が消えた日からアルは変わった。それまでの女性関係が嘘の様に無くなり、今までよく笑い気さくな性格だったのが無表情で無口になった。
それ以来、アルは仕事ばかりする様になった。危険な仕事にも自ら進んで行う姿は、まるで何かを考えない様にも死に急いでいる様にも見える。
(…きっと両方だ)
18年間、アルはずっと番を探し続けている。
けれど、どんなに探しても見つからない。
(もし、番が死んでしまっていたのなら…)
そうだったら、アルはこんなに苦しまなかったかも知れない。でも、アルは番との絆が薄っすらと繋がっていると言っていた。
それは、番が何処かで生きているという事。
だからアルは、諦めずに今も探している。
何処にいるか分からない番を。
「陛下?」
「…ん?」
「何をボーッとしているんですか。早く仕事をして下さい。時間は有限なんですからね」
「わかったよ。…そんなに言わなくても」
ドランに促され止めていた手を動かす。
(願わくば…)
どうか、今も苦しんでる友人の番が彼の前に現れる事を。
そう言って宰相であるドランが束になった書類を渡してくる。
「多くないか?」
「こちらは全て騎士団の書類になります」
その言葉に、親友を思い浮かべる。
「アルは…アルフォンス将軍は?」
「将軍は、相変わらずです」
「そうか…」
18年前のあの日。
アルの番が消えた日からアルは変わった。それまでの女性関係が嘘の様に無くなり、今までよく笑い気さくな性格だったのが無表情で無口になった。
それ以来、アルは仕事ばかりする様になった。危険な仕事にも自ら進んで行う姿は、まるで何かを考えない様にも死に急いでいる様にも見える。
(…きっと両方だ)
18年間、アルはずっと番を探し続けている。
けれど、どんなに探しても見つからない。
(もし、番が死んでしまっていたのなら…)
そうだったら、アルはこんなに苦しまなかったかも知れない。でも、アルは番との絆が薄っすらと繋がっていると言っていた。
それは、番が何処かで生きているという事。
だからアルは、諦めずに今も探している。
何処にいるか分からない番を。
「陛下?」
「…ん?」
「何をボーッとしているんですか。早く仕事をして下さい。時間は有限なんですからね」
「わかったよ。…そんなに言わなくても」
ドランに促され止めていた手を動かす。
(願わくば…)
どうか、今も苦しんでる友人の番が彼の前に現れる事を。
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